新入社員に必要とされる教育とは

カテゴリ:新人研修

2016年1月28日(木)

新入社員に必要とされる教育とは

新入社員と教育コスト

新入社員に限らず、人材育成には教育コストが発生します。若手社員の教育は将来重要な戦力として活躍してもらうために、計画的に実施することが大切です。また、一方で人材の流動化が進んでいることも考え合わせると、重要な人材の社外流出を回避することも重要な課題となっています。

新入社員の入社3年以内の退職率は、「7・5・4・3」と言われています。中卒で就職し3年以内に退職する割合が70%、高卒で50%、短大卒で40%、大卒で30%というものです。社員の早期退職に伴い、採用から導入教育に発生する教育費用、職場でのOJTだけではなく、その間の給与や新たに中途社員の採用や教育にかかる費用を算出すると、莫大な損害額となることが推察できます。

人材維持施策(リテンション)は、将来重要な戦力となる若手社員の社外流出を防止する、企業経営上の人事戦略として位置づけられます。つまり、新入社員の教育コストは、人材育成と人材維持の観点から戦略的な投資コストであり必要コストと言えます。

新入社員とビジネスマナー

社員は、何故、ビジネスマナーを身につけなければならないのか。

時代は、成熟期。ビジネス環境が経済成長期とは異なり、作れば売れる、仕入れれば売れる、回れば売れる、といった売り手市場ではなく、選択される時代であり成熟期であることを改めて認識する必要があります。 

お客さまとの接点を決定的瞬間として捉え、その接点を磨きおもてなしやお客さまの期待度、満足度の向上により選択率を高めることで、永続的な関係性を育み安定した業績達成が可能になります。お客さまは、企業姿勢や価値観、戦略方針に共感することで、顧客ロイヤリティが高まるのです。具体的には、お客さまとの接点における品質は社員一人ひとりの対応行動や業務活動そのものです。企業姿勢や価値観と合致しない社員の行動に触れたお客さまは、沈黙の不満者となり提供する商品・サービスの購入をやめるだけではなく取引を敬遠したり、ネガティブな評判が立ってしまう恐れもあります。

ビジネスマナーに適った社員の行動様式は、お客さまに信頼と安心を提供する所作であると言えます。新入社員といえどもお客さまとの接点においては、会社の代表として行動に責任を持って対応しなければなりません。また、お客さまのみならず社内の諸先輩方と良好な関係を維持するための対人関係の強みとして、ビジネスマナーの習得を理解することができます。

しかし、ビジネスマナーが新入社員に定着できない企業や職場にふれることがあります。 殆どのケースで、その原因・共通点は、先輩方の行動様式に問題があることが挙げられます。

新入社員も人間です。集団の行動規範に準拠した行動をします。入社時の導入教育で新しい価値観や基本動作を学び、新しい行動がとれるようになり、夢と希望を持って職場に配属されます。こうしてビジネスマナーについても意識しなくてもできるようになった上で、職場の先輩社員からOJT(仕事を通じての部下指導)を受けるのです。

しかし、先輩社員がビジネスマナーに無頓着で、いい加減な対応をしている職場であったりすると、新入社員は、「あっ、ここでは、導入教育で学んだやり方と違ったやり方をするんだな」と学習してしまいます。それがビジネスマナーに適っていない行動であっても、あっという間に職場のスタイルとして新入社員に伝承されてしまうわけです。

新入社員の導入教育で学んだビジネスマナーが定着しない実態があるとするならば、受け入れ側の体制についても問題意識を持つことが必要です。新入社員を受け入れる会社、職場の行動様式を正すことや、メンター制度などの運用も工夫し、新入社員の配属を機会に、会社として行動様式の質的向上が得られるようにしたいものです。

新入社員教育プログラムの主要要素

新入社員は、自社の商品・サービスについて理解を深めないとなりません。ビジネスマナーであるあいさつも名刺交換もしっかりできません。電話にしてもモバイルを日常頻繁に利用しているにもかかわらず、ビジネスフォンでは相手に電話をかけることも受けることもできません。新入社員を教育すべきことは、商品・サービス知識、名刺交換や電話応対などのビジネスマナー、就業規則、コンプライアンス、企業理念や戦略方針等、多岐に渡ります。

しかし、その中で一番大切なものは、ビジネスパーソンとしての心構えと役割認識です。社会人とはいえ、学生から組織人への考え方と行動の変革が求められます。

会社・組織とは何か、何故自分は働くのか、学生と組織人の違いは何か。

例えば人間関係において、学生時代は自分にとってウマの合う人たちだけで関係を作っていればよかったのですが、ビジネスではそうはいきません。ウマの合わないお客さまも上司も同僚もいます。その人たちと短時間で効果的な関係を作る能力が求められます。学生の頃にはあたり前だったことを一つずつ見つめ直し、組織人としての考え方、パラダイム(仮説)をシフトすることが求められます。

◇新入社員導入教育プログラムの主要要素

価値観の理解 ビジネスパーソンとしての心構えと役割認識、学生から組織人へ、企業理念・戦略方針
ビジネスマナー あいさつ、お辞儀、名刺交換、電話応対、ビジネス文書、報・連・相
対人関係スキル 自己理解と他者理解、チームワーク

また、新人導入時期において身につける必要のあるスキルについて以下の通り整理しました。当面の新入社員のビジョンであり、チェックリストとして活用可能です。

◇新入社員の当面開発すべき3つのスキル領域

コンセプチュアルスキル
(概念化能力)
  • 将来の自分のビジョンが明確になってる
  • 自分でものごとを判断できる自立的な姿勢ができている
  • 方針や価値観が理解できている
  • 自分の考え方を持ち、気後れせずに発言できる
  • 自分の仕事の改善・問題解決ができる
  • 理論的な思考ができる
    (仕事の管理サイクル、データから論点を押さえる、ポジティブな思考)
ヒューマンスキル
(対人関係能力)
  • 自分の特性を理解でき常に啓発している(自己変革に挑戦している)
  • 他者の意見に耳を傾け受け入れることができる
  • 学習姿勢が身についている
  • 職場チームの中での自分の役割が明確になっている
  • “甘ったれ”ないで自己責任を意識した行動ができる
  • 職場メンバーと効果的な関係ができている
  • 自社が大事にしている価値観や行動を理解し、傷の舐め合いをするのではなく職場メンバーとも高め合っている
  • 関心を持ってお互いにやりとり(キャッチボール)ができている
  • 自分の考えを周囲の人々にうまく表現し伝えることができる
  • 周囲の行動規範にとらわれず自ら行動を起こせる
  • 後輩に対して良き兄貴分・姉貴分として関われる
  • 情報の重要性を認識し、お互いにダイナミクスが起こせる
テクニカルスキル
(職務遂行能力)
  • 学生から企業人への意識変革ができている
  • 自社の事業への理解が出来ていて、ポジティブなイメージを常に持てている
  • 仕事に対して拘りを持ち達成意欲が高い
  • 立場にふさわしい業務知識や業務案内を理解し活用できている
  • ビジネスマナーが習得できていて、周囲の人々に不快感を与えない
  • 仕事を通じて生産性に貢献しているという実感とその仕組みが分かっている

また、前述の通り、新入社員を受入れる姿勢と環境整備も大切です。新入社員を受け入れる前に教育を実施し、共通言語化と指導ガイドラインによる体制づくりと、職場の行動規範を変革しておくことが望ましいと言えます。新入社員を受入れる際に生産性の高い職場に向けた相乗効果を期待することが可能となります。

新入社員導入教育は社会人としてスタートラインであり、まさに絶好の教育機会と言えます。将来を担う大切な人材が、夢と自信と誇りをもって、精一杯仕事に向かえるように支援していくことが大切です。

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