新入社員を育てるために重要な「フィードバック」とは
カテゴリ:新入社員研修 ロジカルシンキング研修
更新日:2025年10月20日(月)
「部下を怒るのが難しくなった」「怒るとすぐ新人がやめてしまう」そんな声を聞くことが増えてきた昨今ですが、人間性や社会性の変化、ジェネレーションギャップを嘆いていてもはじまりません。
企業という枠組みの中で働いているわたしたちの社会では、常に人の流れがあります。新入社員を育てるために以前とやり方を変える必要があるとしても、そこには取り組むだけの価値があると言えます。
部下を怒ったり注意したりするということは、ある物事の事実を踏まえて、それに伴うマイナスの情報を伝えたと分析することもできます。遠まわしな言い方になりましたが、そのように起こった現実に関して、プラスにせよマイナスにせよなにかの観察を述べることを「フィードバック」と呼びます。
本記事ではその「フィードバック」に焦点を当てて解説していきます。
▼この記事でわかること
- フィードバックとは、社員の行動や成果に基づき、成長を促す建設的な意見を伝えること
- 新入社員は不安や迷いを抱えるため、明確なフィードバックが方向性と自己効力感を与える
- 効果的なフィードバックのポイントは、「相手の人間性を重んじる」「わかりやすく伝える」「具体的で適切な褒め言葉を増やす」こと
- フィードバック後のフォローアップを継続し、行動計画の進捗確認や小さな変化を褒めることで定着率向上につながる
フィードバックとは?
フィードバックとは、社員の行動や成果に対して、上司や同僚が客観的な事実に基づいた評価や意見を伝えることです。
これは単なる感情論ではなく、相手の成長を促すための建設的なコミュニケーションを指します。
もしも自分より若い新入社員たちの態度や感覚が、自分の世代と違うと感じることが多いならば、なおのこと適切なフィードバックを心掛ける必要があります。良いフィードバックができれば、後輩社員を上手に育て、良好な人間関係を築くことができるでしょう。
新入社員の育成にフィードバックが必要な理由
新入社員は業務に慣れる過程で、自分の仕事が正しいか、会社に貢献できているかなど多くの疑問や不安を抱えています。
そんな時、フィードバックを通じて、期待される行動や成果を明確に伝えることで、方向性を示すことができます。また「努力が認められている」と感じ、自己効力感と意欲も向上するのです。
具体的な改善点を知ることで、効率的にスキルアップでき、何をどうすれば良いかが明確になります。これにより、新人は迷うことなく目標に向かって進むことができ、結果として企業の生産性向上にも直結するため、フィードバックは新入社員育成の生命線と言えるでしょう。
新入社員へのフィードバックのポイント
ここからは新入社員への効果的なフィードバックのポイントを見ていきましょう。
相手の人間性を重んじる
ミスをした人を怒鳴ったりイヤミを言ったりすることも、教える技術の一つだと言う人がいるかもしれません。「ぼくたちの時代はそういう厳しいことを言われて学んだ」、というセリフも聞いたことがあるのではないでしょうか。
確かにそういう部分もあるかもしれません。かなり体育会系の職場では怒号が毎日鳴り響いており、それが当たり前でむしろ活気につながっているという企業もあるでしょう。自分のいる職場と仲間の場合、それでうまくいっているのであればなにも悩む必要はないかもしれません。
しかし、実際にそうした怒り方やフィードバックの仕方をして、後輩との関係が難しくなったり、せっかく育ってきた新人が会社を辞めてしまったりしているのであれば、やはりフィードバックの方法に調整を加える必要があります。
多くのケースで必要なのは、教える側が相手の人間性を重んじることです。世代が違う、考え方や感じ方がかなり違う新人社員の人間性を重んじて適切なフィードバックをするためには、上司の側にセルフコントロールが求められることでしょう。
わかりやすく伝える話術
良いフィードバックの大前提は、わかりやすく伝えることです。なにかの情報をフィードバックしても、なにを言っているのかいまいちポイントがはっきりしないようだとほとんど意味を成しません。
多くの場合、少しゆっくり話すこと、主語や述語をしっかりしてきちんとした日本語で話すこと、大きな声で話すことで解決されるでしょう。ダラダラと長く伝えるよりも簡潔な言葉で伝えるほうが物事の真意が伝わりやすいものです。
具体的で適切な褒め言葉
フィードバックで非常な重要な点は褒め言葉です。フィードバックとはなにもミスや注意点を突くことだけを意味するのではありません。むしろ、褒め言葉のフィードバックを積極的に増やすことができれば、新人社員を育てる面で大きな成果を得られるに違いありません。
この場合も「良かった」とか「あれで大丈夫」などの言葉ではなく、より具体的に良かった部分を引き合いに出すようにしましょう。「君が○○してくれたおかげでこんな風にうまくいった」、「君がこの点でこんな風に頑張ってくれているおかげでこんな良い結果が出ているよ」など、相手の思考に評価される行動や情報がインプットされるように心がけましょう。
感覚の違いを乗り越える
最初にも触れたように、人の感覚の違いというものは根深いものがあります。フィードバックをする場合には、これが良い人間関係を保つ上で障壁となることがよくあります。特にその中でも、年代の違いによる感覚の違いはぬぐい難いものでしょう。
しかし、適切なフィードバックをおこなう場合、自分が持っている「普通」や「良い」の感覚を相手に押し付けてしまうとうまくいかないことが多いでしょう。こうした問題を乗り越えるためにも、柔軟なコミュニケーションを日頃から意識する必要があります。
模範を見せる
さて、自分自身もフィードバックを受ける機会があると思います。もちろん、部下や新人からフィードバックを受けるということも有り得るのですが、日本の社会風土からしてそうした機会は少ないかもしれません。自分が上司からフィードバックを受けたときに、それを部下に対して模範を示す機会と捉えましょう。
上司からのネガティブなフィードバックに対して自分自身がマイナスな態度をとっていれば、それは新人や後輩に対する良い模範とはなりません。フィードバックにどう反応するか手本を示すようにしましょう。
フィードバック後のフォローアップも大事
フィードバックは伝えれば終わりではありません。新入社員が内容を活かせるよう、継続的なフォローアップが必要です。
具体的には、フィードバックで決めた行動計画の進捗を一緒に確認したり、「次はどうする?」と次のアクションを促す対話を設けましょう。
小さな変化や努力を見逃さず、すぐに褒めると新入社員のモチベーション維持に繋がります。定期的なフォロー面談などを通じて、業務上の課題だけでなく、心理的な不安や人間関係の悩みにも寄り添い、安心して働ける環境を整えることが、長期的な成長と定着に不可欠です。
新人を伸ばす指導スキルを身に付けられるおすすめ研修一覧
研修名 | 研修の特徴・ポイント |
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管理者養成基礎コース | 新入社員を育てる立場としての基本マインドと行動を徹底的に習得。困難な状況でも逃げずに部下育成と向き合う姿勢、周囲を巻き込むリーダーシップの基礎、行動的な発想を厳しく訓練し、意識と行動の変容を促します。 |
指導力開発訓練 | 効果的な「フィードバック」の実践に直結するスキルを体系的に学習します。新人のやる気を引き出す褒め方・叱り方、そして仕事の教え方といった具体的なアプローチを、ロールプレイングを繰り返して体得。 現場ですぐに活かせる指導力を養い、組織全体の育成力の底上げを目指します。 |
現代の管理学Ⅰ | 管理者に求められるマネジメントの知識と考え方を体系的に学びます。新人の成長を促すための目標設定や進捗管理、部下の動機づけなど、新人指導に欠かせない視点を網羅。 論理的思考力と本質を見抜く力を鍛え、場当たり的ではない、一貫性のある適切なフィードバックを行う力を強化します。 |
リーダーの条件 | 新入社員との信頼関係構築と指導力向上に焦点を当てた研修。「正しく仕事を与える」「注意する」「誉める」といった、部下のやる気を高めるための具体的なコミュニケーション技術を習得。 考えさせる指示方法や、効果的な注意・称賛の仕方を実践的に磨きます。 |
MMS ヒューマンスキルコース | 「部下育成指導力」を重点的に習得するプログラム。傾聴やアサーションといったフィードバックの質を高めるためのスキル、信頼感の構築やモチベーションを引き出す指示方法をロールプレイで徹底習得。 管理者として新入社員の成長をサポートし、社内外に通用するヒューマンスキルを養成します。 |
組織力向上研修 | 信頼関係を築き、双方向のコミュニケーションを深めることに主眼を置いた研修です。傾聴力・共感力、多様性への理解といったフィードバックの前提となるスキルを習得。 協調型リーダーシップを体系的に学ぶことで、新入社員の主体性を引き出す職場環境を形成し、離職率低減や部門の活性化を促します。 |
まとめ
新入社員を含め、後輩を育てるのは骨の折れる作業です。しかし、会社というものが存続する限りこれは必要な教育であり、人間同士の関係を良いものにして気持ちよく仕事をしていくためにも必要なことです。
適切なフィードバックを心掛けるならば、やがて良い結果を得ることができるはずです。良いフィードバックの結果がすぐに出なくても、諦めないようにしましょう。
人の身体が急に成長したり変化したりしないのと同じように、人の内面や意識も一朝一夕では変わりません。新入社員が二年目を迎える時、あるいはより重い責任を社内で担う時のために、粘り強く良いフィードバックを繰り返していきましょう。
FAQ
フィードバックは新入社員の育成になぜ必要ですか?
期待される行動や成果を明確にし、方向性を示すためです。また、努力が認められていると感じることで自己効力感と意欲が向上し、企業の生産性向上にもつながります。
効果的なフィードバックを行うための具体的なポイントは?
相手の人間性を重んじること、簡潔でわかりやすい話術、具体的な褒め言葉を用いることです。また、感覚の違いを乗り越え、上司が模範を示すことも重要です。
フィードバック後のフォローアップはどう行うべきですか?
フィードバックで決めた行動計画の進捗を確認し、次のアクションを促す継続的なフォローが不可欠です。小さな努力を見逃さず褒めることでモチベーションも維持できます。