シニア社員への社員教育は必要なのか
2018年5月26日(土)
定年を迎えたのち、シニア社員として職場に残る方も増えていますが、こうしたシニア社員への扱いに困っている方も多いのではないでしょうか。今後法改正によって70歳までの継続雇用が実現されるのではないかといった動きもあり、企業としては、今後シニア社員をいかに有効活用できるかが重要なカギとなってくるでしょう。そこで、ここではシニア世代への社員教育の必要性、モチベーション維持のポイントなどについてお話したいと思います。
モチベーション低下の理由
シニア社員のモチベーション低下は以前から問題視されていましたが、その理由は何でしょうか。今後シニア教育を実践していく上でも、モチベーション低下の原因をきちんと把握し理解できないとスムーズに進めませんので、まずはきちんと理解することが大切です。
シニア社員のモチベーション低下の理由はいろいろと挙げられますが、ひとつには再雇用後の給与が大幅にダウンしてしまうことが挙げられます。定年後に再雇用された場合は嘱託社員となるため役割も変わり、給与額も変更されます。今までと同じ待遇というわけにもいきませんから、どうしても給与が大幅にダウンしてしまうのです。本人からすると「これまで頑張ってきたのにという想いもありますし、プライドもありますから、給与額ダウンによるモチベーションの低下が原因となります。
また、かつて部下だった後輩が自分の上司になることもありますし、この変化に対応できずに問題が起きることも少なくありません。
シニアの力を活用するための社員教育
今さらシニア層に社員教育を行う必要があるのか、という声も聞かれますが、先ほどお話したような理由から、社員教育は必要と言えるでしょう。給与の大幅ダウンや上限関係の変化によってモチベーションが低下するシニア社員はたくさんいますし、その状態で仕事をしても、思ったような成果は期待できないでしょう。
シニア社員の力を活用するためには、モチベーション維持のためにも社員教育は必要です。新人や若い世代に行う社員教育とシニア社員に実施する教育はまた別物だと考えましょう。
専門のトレーニングを実施する
モチベーションを維持させる、アップさせるというのは口で言うほど簡単なことではありませんし、一度下がってしまったモチベーションを元の水準まで引き上げるには相当な労力も必要となるでしょう。素人が簡単にできるようなことでもありませんから、専門企業にモチベーショントレーニングを実施してもらうといった方法がひとつに挙げられます。定年前、定年後のビジネスモチベーショントレーニングを実施している専門企業もありますから、そうした企業のサービスを利用するのは効果的と言えるでしょう。こうしたトレーニングは時間がかかるため、できるだけ早期から取り入れたほうが良いと言われています。
中堅社員研修の実施
ミドルマネジメントへの中堅社員研修を実施するという方法も効果的です。中高年社員やシニア社員はこれまで培ってきた高度な対人スキルがあります。コミュニケーション能力や豊富な経験は若者にはないものですから、この強みをさらに伸ばすことがシニア教育での大きなポイントと言えるでしょう。
もともと持つスキルをさらに伸ばし、会社に貢献できる業務に就いてもらうことができれば、シニア社員のやりがいにも繋がります。給与を引き上げることは難しくても、やりがいがあればモチベーションは高まるでしょうし、期待以上の成果が生まれるかもしれません。
シニア社員の受け入れ体制を
シニア社員の受け入れ体制をきちんと確立することができれば、モチベーション低下を未然に防ぐことも可能でしょう。いきなり給与が大幅ダウンし、後輩からもぞんざいに扱われたら、誰でもモチベーションは低下してしまいますし、会社に貢献しようという気も起きないでしょう。
シニア社員を将来的にどのように受け入れ活用していくかを明確にし、受け入れ体制が整っていればシニア社員のモチベーション低下を回避することは十分可能です。シニア社員が活躍できる、働きやすい雰囲気や環境を整えることが先決ではないでしょうか。
企業の行く末をシニア社員が握る
日本人の寿命もどんどん延び、今後はさらに高齢まで働く人が増えてくるでしょう。シニア社員をいかに戦力にできるかが企業にとって重要なポイントとなりますし、企業の行く末をシニア社員が握っていると言っても過言ではありません。シニア社員のモチベーションを維持するためにも社員教育は必要なのです。