社内研修の重要性と設計の手順|研修を成功に導く仮説思考とは?
カテゴリ:一般社員研修 ロジカルシンキング研修
2019年6月28日(金)
企業・組織に所属する多くの方々が新入社員研修・階層別研修・スキルアップ研修等何かしらの研修を、これまで受講されていることと思います。しかし中には「そもそも研修には効果があるのか」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、人材育成における社内研修の重要性を紹介しつつ、内製でするべきか、それとも外注でするべきか、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
企業成長を後押しする社内研修の重要性
たいていの新入社員は、まだ大学を出たばかりです。大学でレポートの執筆、メールの送付などは経験していても、社会人としての自覚や仕事に関する知識、そして服装・報告書の作成方法などの細かなビジネスマナーなどは身に付いていません。そうした状況の中でいきなり「会社で仕事をしろ」と言われても、何をすればいいのかわかりらない社員がほとんどでしょう。即戦力が欲しければ、ヘッドハンティングや、転職者を雇えばいい話です。若い人材を雇用したからには、会社が責任を持って彼らを育成しなければいけません。彼らがスキルアップをすることで仕事はスムーズに進むようになりますし、それがひいては企業の利益向上につながるのです。
そのために、新入社員研修は欠かせません。もっとも近年は、「本当に社員研修が有効なのか」と、その役割が疑問視されています。中には研修の最中に会社の方針に疑問を感じたため、すぐに辞職してしまった新入社員も少なくありません。なぜそうしたことになるかといえば、それは企業が慣例にもとづいて研修を行っているだけで、重要性があるかどうかを比較していないからです。去年もやったから、ずっとやってるから、という習慣にもとづいて研修を行っていると、中身が伴わないものになりがちです。それでは社員が疑問を感じても仕方がありませんし、企業の成長につなげることはできません。逆にいえば、研修の有効性をしっかりと吟味したうえで実行すれば、今後のよりよい成果につなげられるでしょう。
研修を行うことで企業の経営にどのような影響を与えることができたか、といったことはしっかりとデータとして残しておくべきです。一時的に成果が出なかったとしても、そうした確認を反省につなげて、よりよい研修を行うことにつなげられます。
社内研修を設計する基本ステップ
社内研修をより有意義なものにするためには、事前の設計が欠かせません。計画なしに物事を進めようとすると、たいていうまくいかないものです。そこでここからは、社内研修を計画するにあたって必要なステップを一つひとつ見ていきましょう。
●STEP1:社内研修の目的を決める
まずは、「研修を行うことで何を達成するか」という目的設定が必要です。いかにプロセスをしっかりと組み立てているといえど、目標が明確になっていないと、なんのために研修を行っているのかわかりらなくなってしまいます。OJTではなくせっかく研修を企画するのであれば、目標設定が大変重要です。それゆえ、「最初に研修を行うことで社員たちにどうなってほしいか」というビジョンを作成することから始めましょう。仮に社内になんらかの問題があるとしたら、「それを解決できるような人材を作る」というものでもいいでしょう。また、研修のテーマを作ることも欠かせません。なんらかのテーマを掲げておけば、研修に参加する社員の方針が明確になります。テーマに合わせて社員たちが行動してくれれば、研修が成功に終わる可能性は高くなるのです。
●STEP 2:プログラムを設計する
研修のテーマを決めたら続いて研修内容を作成しましょう。どういった日程で、どの程度時間をかけて研修を行うのか、どの期間に社員にどういうことをしてもらうか、ゲーム形式のグループワーク中心にするのか、ディスカッションの機会を設けるのか、といったことをこの段階で策定します。もちろん、「一度組み立てたカリキュラムを2度と変えない」と決める必要はありません。まずは具体的な提案・企画を設計して、研修に参加する社員にアンケートを実施するなどしながら、柔軟にプログラムを決めていきましょう。
●STEP3:講師を選定する
研修には、社員たちを導いてくれる講師が欠かせません。優秀な講師を招くことで、社員たちのスキルはより高まっていくでしょう。もっとも、人気のある講師であればだれでもかまわない、というものではありません。たとえばあまり営業に力を入れる必要がない企業が、ビジネスマナーを教えてくれる講師を招いたとしても意味がないでしょう。基本的には、STEP1で決めたテーマに合わせた講師を招くのが一番です。
●STEP4:効果測定の方法を定める
実際に研修を行う前に、効果をどんな指標によって測るかを決めておくことも重要です。研修を行ったことで、会社の業績が上がるかどうかを測定する、といった方法をあらかじめ決めておきましょう。この段階を用意していないと、なんのために研修を行うかがぼやけてしまいます。
社内研修の内製化・外注のメリット・デメリット
近年は、他の企業と連携しながら研修を行う「外注研修」も盛んになっています。「その流れに合わせてうちも他所のサービスに外注しようか」と考えている担当者は多いでしょう。そのためにはまず、内製と外注のそれぞれのメリットとデメリットを見極めなければいけません。
●社内研修を内製化するメリット・デメリット
・メリット
社内研修を会社で行うメリットは、なんといってもコストがかからない点にあります。社外の人材に依頼する場合はコストがかかってしまうので、それを節約できるのは何よりの魅力といえるでしょう。また、研修のプログラムを自社で作れるので、会社の課題に合わせたオリジナルの研修を行えるというメリットも挙げられます。
・デメリット
一方で、すべて自社内で研修をまかなおうとすると、時に講師を務められる人材がいない、ということになりがちです。また、普段一緒に仕事をしている社員と研修を行うことで、刺激のなさを感じる社員も少なくはないでしょう。さらに、社員のモチベーションを高めるために社外で研修を行うとしたら、場所の確保をどう行うか、という課題も浮かび上がってくるでしょう。
●社内研修を外注するメリット・デメリット
・メリット
研修会社に依頼するメリットは、会社に所属しているだけではわからない知見を手に入れられることです。普段会社で働いているだけだと、企業が打ち出す価値観に凝り固まっていって、新しいアイディアがなかなか生み出せません。それを打破するためにも、外部から来たプロの講師に教育してもらうことで、新たなアイディアを生み出すことも期待できます。
・デメリット
社外の講師を招くと、やはり費用がかかってしまうのがデメリットです。また、どういったスケジュールで研修を行うかという問題も付きまといます。人気のある研修は多くの企業が依頼するため、なかなか予約が取れません。例年通り研修を行うためには、早め早めに予約を取る必要があるのです。
社内研修を推進するには「仮説思考」が大切
近年、ビジネス本などで「仮設思考」というワードを聞くことが多くなりました。ビジネスをするうえでは大切な概念なのですが、これは研修を行ううえでも、重要なキーワードです。そこまで専門的な思考ではありませんので、簡単に理解できるでしょう。5つの視点から、この仮設思考について解説していきましょう。
●仮説思考の概要
仮説思考は、学生時代に理系を選定したことがある人なら馴染みのある概念でしょう。まず仮説を作ったうえで、それにもとづいて実験を行い、結果を判定しながら仮説が正しかったのか、とフィードバックを行うのがおおまかな流れです。物事を計画立てて行う進め方の一つといえるでしょう。
●仮説思考のポイント
仮説思考が他の方法と際立って違うポイントは、スムーズに実行に移せるところです。仮説はその名の通り、あくまで仮のものですから、間違えていたとしてもかまいません。「とにかくまず仮説を立てて実施し、反省するのは後から」といった手法で物事を進めるのです。
●強化課題を明らかにする
仮説思考のメリットは、「企業のどこに弱点があるのか」といったことを明確にできることです。たとえば、「うちの企業はここが強い」と仮説を立てたとしましょう。実際には食い違う結果が出たら、それがすなわち課題となって、取り組むべきポイントに変化するのです。
●特に仮説思考が重要なのは
この仮説思考が役立つ場こそ、研修に他なりません。研修はあくまで新入社員の実験場といえ、いくらでも失敗が許されている場所です。新入社員はここで仮説を立て、実行し、反省する、というステップを身に付けることができます。
●反復実行によってレベルを高める
仮説思考が重要といえるのは、それによってビジネスの精度が向上することにあります。常に反省を繰り返しながら仕事を行うので、修正点がすぐ見つかり、ノウハウも手に入れられ、次の仕事の成功につなげやすくなるのです。
研修は若手社員だけでなく企業にもメリットをもたらす
以上、さまざまな視点から、社内研修の必要性についてみてきました。社内研修の実施後は、受講者にレポートや報告書・感想文の提出を課し、研修内容の定着を促すことが大切です。また「研修をどうするか」と考えることは部下のためにするものでもありますが、その過程で上司のスキルアップにもつなげることができます。研修を通して、社内全体がレベルアップできるような環境作りを目指しましょう。