中堅社員の研修にはどのようなことが必要なのか

カテゴリ:人材育成

2019年8月30日(金)

中堅社員の研修にはどのようなことが必要なのか

入社後何年目の社員が対象になるのか

入社した当初は新人と呼ばれ、場合によっては実習生や研修中といったネームマークを付けることもあります。いわば、仕事を始めたばかりですので、どうぞよろしくお願いしますとか、新人なのでテキパキ仕事がこなせない状態を大目に見てくださいねというメッセージです。

このマークは、だいたい1か月~3か月程度で取り外すことがほとんどで、その後は、一通りのことを習得したうえで、新人としてできることから頑張っていかなければならないということになります。そして一年が過ぎたら、次の新人が入ってきますので、いつまでも新人気分が抜けず、いざとなったら上司や先輩が面倒を見てくれると思っていてはいけません。次なるステップへと進むときがやってきたというわけです。

新人の次はいわゆる中堅と呼ばれる世代になりますが、入社後、だいたい何年目の社員がこのクラスに該当するのでしょうか。会社の規模や取り組む仕事の内容、さらには社員それぞれが持つ能力やスキルにも影響されますが、入社3年目以降となると、部署内でのほとんどの仕事は一人でこなせるようになるのではないでしょうか。

しかし、入社後3年以上が過ぎても、ほとんどの社員は、まだ係長や主任といった何らかの役職には就いていません。従って、1~3年目を若手社員と位置づけ、その上に位置するより責任のある仕事ができる社員グループと考えて、まず間違いないでしょう。

なぜこの年代の社員に必要なのか

昨今、多くの企業では新人よりも中堅社員に対する研修に力を入れることが多くなってきました。その理由としてもっとも大きいのが、役職付きではないものの、職場においてバリバリ仕事をしている即戦力の社員がもっとも多いレベルだからです。

場合によっては、他の部署から人事異動によって配属されてきた役付きの社員よりも、その部署では遥かに仕事内容に精通していて、その人がいないと仕事が滞ることも珍しくありません。そのため、役職付きになる前に、より大きな役割を果たしてもらい、マネジメント能力を身に着けたうえで、役職付きの社員へ昇格してもらいたいという狙いが、会社側にはあります。

さらにこの年代は仕事をバリバリこなすことができるため、仕事内容や給与、さらには上司と若手社員との間に挟まれることによって、自分のしたい仕事ができないケースも発生し、これまでの実績を生かして転職してしまう社員も多いのが特徴です。会社としては上司と若手社員の間に立ち、指導者的立場として若手社員をよりレベルアップさせてほしいと考えていますし、役職付きの上司の下では、上司の仕事がスムーズにいくよう、これまでの経験から補佐的な役割を期待しています。そのため、中堅社員がどれだけ力をつけ、能力を伸ばしてくれるかが会社の業績を大きく左右するといっても過言ではないのです。

なぜそれほど重要なのか

多くの企業がコミュニケーションスキルアップを重視し、多額の予算を割いてまで社員研修を行う最大の理由は、コミュニケーションをうまく取れると取れないでは、業績に大きな影響を与えるからです。

そもそも人間というものは、ほとんどの人が自分の話を聞いてもらいたいと考えています。そのため、相手の話にはうわの空だったり、話半分に聞いていたりといったことが多いのです。家族や友達同士のコミュニケーションであれば、それほど問題視することもないでしょうが、実際には家族と何日も口を利かなかったり、友人と縁が切れてしまうこともあります。これをビジネスに当てはめて考えてみると、コミュニケーションスキルが未熟なために大事なビジネスパートナーを怒らせたり、業務提携解消や取引停止といった、会社に大きな損害を与えたりする可能性すら出てきます。

これらの理由から、企業は高いお金を出しても、研修を受けさせたいと考えるのです。一部の社員によるコミュニケーション能力の低さによって、自社が多大なダメージを被る可能性が否定できないとなると、社員全員のコミュニケーション能力の底上げが不可欠と考えるのも無理もないところでしょう。

キーパーソンにぜひとも受けてもらいたい理由とは

若手社員にとっては指導者的立場の先輩となり、役職付きの上司からは仕事に精通した頼れる部下という立場になることから、まさに各部署のキーパーソンとなる年代の社員であるのは紛れもない事実です。自分自身がこれまで積んできた経験から、仕事を進めることもできますし、たとえミスをしても、それをカバーする方法も失敗から学んでいます。

つまり、仕事をこなすうえでは特別な勉強をする必要がない彼らに学んでほしいこととは、現在の自分について、そして今後の自分について、と言えるでしょう。中堅社員は、職場におけるもっとも重要なキーパーソンとしての位置におり、自分の仕事だけに専念するのではなく、会社という組織の中で、広い視野を持って全体像を掴みながら仕事を進める大切さに気づいてもらわなければならないのです。

そうなると中堅社員に必要な研修とは、どちらかというと、仕事のスケジュールや到達までの流れ、そして効率よい仕事の仕方よりも、今後リーダーとしての役割を把握し、自分の仕事と共に、職場の人たちをまとめ、なおかつ会社全体を見据えて仕事を進めていかなければならないという意識に変えることが一番の目的となってきます。業務のスキルアップも、もちろん大事ですが、意識の変革を促すために研修を行うのが一番の目的と言えるでしょう。

具体的な内容はどのようなものになるのか

仕事のタスクや効率を図るといった職場や部署単位の考え方に加え、会社全体にどのような影響を与えるかという広い視点でとらえるようになってもらうために、仕事をするにあたっての意識改革を身につけることが重要です。さらに今後は将来のリーダーとなるべく、リーダーシップを発揮するためのスキルや、メンタル面、そしてヒューマンスキルといったことを重点的に学ぶことになるでしょう。もちろん、仕事そのもののスキルアップも当然求められますので、密度の濃い内容になることは明らかです。

上司と若手社員の間に挟まれ、さらには仕事も増え期待される年齢であるため、業務を担当多く抱え込む人が増えるのも特徴です。また、新人時代には先輩がサポートし、教わる側であったため、3年を超えて独り立ちできるようになると、誰かに何かを教わるという機会は極端に減ってしまいます。上司からは指示を受けるものの、教わるという意味合いとはまた別であり、将来は役職付きの上司になることが期待される年代ながら、学ぶ機会が無くなるのです。

そのため、社員それぞれに適した内容で研修を受けることが望ましいと言えるでしょう。今後はより専門的な仕事に特化し、会社に貢献していくであろう社員なら、仕事のスキルアップにより大きな割合を割きつつも、部下の上に立つ人間としての心構えを説くことが、何よりもブラッシュアップのきっかけとなるはずです。

一方、チームで仕事を進めることが不可欠な部署であれば、各個人のスキルアップも大事ですが、いかにチーム全員の士気を高められるか、メンバーに対してどのようにアプローチすれば、一丸となって仕事に取り組むというチームワーク力が引き出せるか、といった具合に、メンタルな要素を重点的に学ぶことになるのが特徴と言えます。

それぞれの状況や性格によってきめ細かな内容にすることが必要

部署によっては、個人で仕事をする方が効率よい場合もありますし、先述のようにチームを動かす能力が、仕事をスムーズに進めていくカギになる場合もあるでしょう。いずれにしても、企業においては適材適所の人員配置が業績に大きく響いてくるのは明らかですので、中堅社員だからと一括りに同じ内容で勉強してくださいというのでは、経費の無駄遣いになるのは明らかです。

新人教育ならみんなが一斉に同じスタートラインに立ち、必要とすべき最低限のことを学んだのち、配属先それぞれがで必要な知識を新たに吸収していきますが、若手を卒業して次なるレベルの年齢層になると、しばしば部署ではなく、人を選んで仕事を頼むというケースが出てきます。専門知識の豊富さや適性を考慮し、頼むならこの人にといった具合になってくるわけです。

その理由は、その人でないとできない仕事であったり、丁寧ながらも仕事が早いといった具合に、個人の能力が浮き彫りになるのが一番の理由と言えます。若手社員を卒業した段階で見えてくる、仕事ができるか否かの能力の差を見極めながら、よりメンタルを重視した内容が向いているのか、それとも個人の能力をより一層引き上げる力を付ける内容にするかで、社員一人一人が大きく変わってくるでしょう。

ただ、どちらにも共通する要素として、今後はよりいっそうリーダーシップの発揮が求められるという点は同じですので、この点に関する研修は不可欠かつ、全員が共有して問題ない要素と考えられます。



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