営業マネジメントとは?マネージャーの役割や効果を高める方法【研修・SFA】
2022年8月25日(木)
2023年9月6日(水)
営業担当者のパフォーマンスを向上させ、売上目標を達成するためには、営業マネジメントが欠かせません。明確な効果を出すためには、役割を意識しながら営業マネジメントを行うことが大切です。また、目的に応じて、ポイントを把握したうえでマネジメントを行うことが求められます。
この記事では、営業マネジメントの定義や役割、営業マネジメントの効果を高めるための実施方法について徹底解説します。営業チームの営業力低下が懸念される場合やチームのまとまりが欠ける場合は、ぜひ参考にしてください。
営業マネジメントとは?
営業マネジメントは、企業が収益を得るための中核となる営業部門をマネジメントすることです。具体的な定義と、戦略的にマネジメントしていくことで期待できる効果について解説します。
営業マネジメントの定義
営業マネジメントとは、営業担当者のモチベーションや活動を管理して営業成績を向上させ、営業戦略上の目標達成を目指すことです。営業マネジメントを実行する人物を「営業マネージャー」と呼びます。営業マネージャーはナレッジの共有やアドバイス、フォローなどを行い、チームメンバーがパフォーマンスを最大化できる環境づくりに努める必要があります。
営業マネジメントの導入で期待できる効果
営業マネジメントを導入すると、組織全体の売上や成果の獲得が期待できます。これは、営業マネジメントによって、一人ひとりがパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えられるためです。
営業パーソンのスキルアップにつながる点も営業マネジメント道入の代表的なメリットです。業務効率化を実現できるため、自分の業務に集中しやすくなります。
メンバーの主体性やモチベーション向上が期待できる点もメリットのひとつです。営業マネジメントによって目標が明確化されるため、自分の行動が売上や成果に反映されやすくなります。
営業マネージャーとは
先ほども述べたように、営業マネジメントを実際に担当するのが営業マネージャーです。営業職で実績を積んだ人が選ばれるのが一般的で、そのノウハウをメンバーと共有しながらチーム全体の売上を高めていきます。
1人のプレーヤーではなく、経営陣に近い存在として全体の実績を上げることが求められます。そのため会社のビジョンや方針を理解したうえで、個々のメンバーの案件を把握してビジョンを反映させつつ業績アップを図らなければなりません。
営業マネージャー研修とは
マネジメント研修に参加することで、営業マネジメントの効果を高められます。
マネジメント研修とは、社員を管理する立場の人(管理職)に対して行う、マネジメントスキルを向上させるための研修です。コミュニケーション能力、リーダーシップ、指導・育成力、正しい評価・判断を下す能力、企画・立案力など、管理者に求められるスキルの習得を目指します。管理職の役割の認識や企業パフォーマンスの向上にも役立つ研修です。
社内でマネジメント研修を実施することも可能ですが、人材育成のノウハウが豊富な外部の会社が行う研修に参加すると高い効果を見込めます。
社員教育研究所では「組織力向上研修」を実施しています。現代社会で求められる組織のリーダー育成を目的とした3日間の短期集中型研修です。ビジネスにおけるリーダーに必要な知識や能力に関して理解を深められます。
具体的には、傾聴力や指導力、部下の育成方法、主体性を発揮できる環境づくりの方法といった現場で役立つノウハウを習得可能です。通学・オンラインの2つの方法を選べます。そのため、仕事の都合に合わせやすく、遠方の会社でも参加可能です。
「組織力向上研修」の詳細はこちら営業マネージャー研修を選ぶポイント
研修会社による営業マネージャー研修を選ぶときのポイントについて解説します。以下の3点をチェックしましょう。
- 自社の目的に役立つ内容か
- 自社の社風や文化にフィットするスタイルか
- 実績はあるか
1つずつ見ていきます。
自社の目的に役立つ内容か
まず、研修が自社の目的に役立つ内容か確認しましょう。企業により解決すべき課題や向上させたいポイントが異なります。自社に合った内容の研修を受けさせてこそ、問題解決やさらなる業績アップが形になります。
漠然と、研修を受けさせれば状況が向上するはずと考えているだけでは、期待するような効果は得られません。確実に効果を得るために、場合によっては自社の問題点や改善点を改めて突き詰めることも必要でしょう。
自社の社風や文化にフィットするスタイルか
自社の社風や文化に研修がフィットするかどうかも重要です。研修会社は数多くあり、それぞれ独自のスタイルや信念を持っています。自社の社風とうまく嚙み合ったときは非常に大きな効果が期待できますが、そうでないと結果も芳しくないことになるでしょう。
たとえば統率された社風の場合に、ラフで自由な雰囲気のスタイルの研修を受けても社員も戸惑ってしまいます。もちろん逆の場合も同様です。研修のクオリティが高くても期待外れと感じてしまう可能性があります。
実績はあるか
目安ではありますが、これまでにどのような企業に対してどのぐらい研修を行っているかも参考になります。一般に、実績が多いほど内容のブラッシュアップがなされているからです。研修を受けた企業の売上の変化など調べられるなら、より正確な判断ができるでしょう。
ただし、逆に始めたばかりで実績がないからこそ熱心に対応してくれるというケースもあります。研修会社も、自社の研修を受けた企業がよい結果を出せるようになれば自社の実績となるからです。きめ細かな対応をしてくれる可能性もあるので、担当者に相談してみてもよいでしょう。
営業マネージャー研修で身に付けるべきスキル
営業マネージャー研修で、マネージャーとなる人が身に付けるべきスキルには次のようなものがあります。
- 聞き出す力
- コミュニケーション力
- マネジメント力
- リーダーシップ
- コーチングスキル
- ロジカルシンキング
- 企画力
- 行動力・実行力
数が多いので躊躇してしまうかもしれませんが、学問的な知識と違って業務につなげて理解できるスキルばかりです。習得するのも、研修で理解したら業務で徐々に訓練していけば問題ありません。それぞれについて見ていきましょう。
聞き出す力
まず、聞き出す力が挙げられます。相手のニーズに応える形でサービスや製品を提供して利益を得るためには、当然ながらまず相手のニーズを聞き出すことが必要だからです。営業職には聞き出す力は必須です。
また営業以外でも、あらゆる場面で初めに現状を把握しなければなりません。その際には相手から情報を得る必要があり、そのためにも聞き出す力が非常に重要となります。
実績のあるプレイヤーとしては無意識のうちにできていたことかもしれませんが、マネージャーとなるには技術として部下に習得させる必要も出てきます。研修で聞き出す力を学ぶことはチームのためにも非常に有益です。
コミュニケーション力
コミュニケーション力も非常に重要です。顧客に対するコミュニケーションはもちろん、マネージャーとしてメンバーとのコミュニケーションも取っていかなくてはならないからです。
メンバーとの間に信頼関係を築くためにも、またメンバーに適切な対応をするためにも、コミュニケーション力が必要となります。すでに述べた聞き出す力もコミュニケーション力の一部ですが、さらに相手が理解・納得できるよう伝えるスキルも求められます。
マネジメント力
営業マネージャーとして活躍するためには、マネジメント力も必要です。マネジメント力もリーダーシップなどいろいろなスキルに細分化することができます。中でもメンバーを鼓舞しながらチームの状態を高めるよう管理するために、客観的に評価するスキルが重要です。チームのリーダーには公平さが求められるからです。
そのほか、マネジメント力の一部として進捗や状況を把握するスキルも必要です。自分が多忙だとメンバーに任せっぱなしになりがちですが、適切な管理のためには状況を把握しそれに応じた指示を出すことが大切です。
リーダーシップ
リーダーシップも非常に重要です。チームをただの仲良しグループで終わらせずプロフェッショナル集団とするためには、メンバーにビジョンを示し導いていく力が欠かせません。ビジョンを伝える力、目標を実現させる意志の強さなどが必要です。
また精神論で終わらせないよう、目標を実現させるためにネックとなっている部分を特定したり、その部分を解消したりする思考力・実行力も求められます。
コーチングスキル
マネージャーの大切な仕事の1つに部下の育成があり、そのためにはコーチングスキルを身に付ける必要があります。コーチングは指示や答えを与えて人を動かすのではなく、自力で答えを見つけられるようサポートすることです。コーチングで得たものは本人にとって納得感が高く実行しやすいほか、自力で考える姿勢が身に付いていくというメリットもあります。
同様にティーチングスキルも習得すると、両者を組み合わせた育成が可能になります。答えを示すティーチングよりもコーチングの方が難しく、学ぶべき点が多くあります。マネージャー研修で体系的に習得しておくことが望ましいでしょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングも営業マネージャー研修で身に付けておきたいスキルの1つです。ロジカルシンキングは、情報を整理して論理的に考察することです。問題解決・正当な評価など、マネージャーはあらゆる場面で論理的・客観的に考える必要があります。ロジカルシンキングはその必要を満たしてくれるスキルです。
勘や経験など言葉にしにくいものに基づくよりも、第三者が理解・納得できる答えが出せるようになります。メンバーに指示を出したり理解を求めたりするときにも役立ちます。もちろん営業活動においても有益なので、チームの成績を高めるのにも効果的です。
企画力
営業マネージャーには企画力も求められます。成果を上げていくための具体的な戦略を立てる必要があるからです。コミュニケーション力やロジカルシンキングで情報を整理して現状を把握したら、課題となっていることを解決する方法を考え出すフェーズに移ります。そのときに求められるのが企画力です。
企画力は経験で磨かれていく部分もありますが、経験は過去のものであり企画は未来に向けたものです。スキルとして企画力を習得することで、未知の状況に対する対応力を高めます。
行動力・実行力
チームのリーダーとなるマネージャーには、行動力や実行力も必要です。どれだけ素晴らしいアイディアを思いつくことができたとしても、それを実行しないことには具体的な成果に結びつくことはありません。行動力・実行力は実績を上げていくために必須と言えるでしょう。
メンバーが指示通りに動かないときには、メンバーに実行・行動させるという意味での実行力が求められます。チーム全体を動かしていく・行動させていく力がマネージャーには必要です。
営業マネジメントの主な役割
営業マネジメントの主な役割についてまとめます。以下の役割が挙げられます。
- 目標管理
- 行動管理
- 案件管理
- モチベーション管理
- 人材育成
実際にこれらの役割を担う担当者が営業マネージャーだということになります。1つずつ見ていきましょう。
目標管理
目標管理は、営業マネジメントの代表的な役割のひとつです。
目標管理とは、営業戦略に沿って営業部門全体やメンバーごとの目標設定をし、管理することを意味します。営業目標を設定し共有することで、チーム全体の一体感が醸成されます。
目標とする数字のレベル設定する際は、「少し難しいと感じる」「納得感が生まれる」の2点を意識する必要があります。簡単には達成できないレベルを設定することで、メンバーの能力を最大限引き出しやすくするためです。モチベーションの向上にもつながります。
また、最終目標に到達するためにKPI(重要業績評価指標)を細かく設定しましょう。目標へのステップを数値化することで、進捗を定量的にチェックできるようになります。
行動管理
行動管理も、営業マネジメントの目的のひとつです。
行動管理とは、営業担当者の日々の行動を管理・分析し、必要に応じてフィードバックを行うことです。管理する数値の例として、リード数、アポイント数、クロージング数、成約数などが挙げられます。
行動管理は、プロセスマネジメントとも呼ばれています。行動の結果だけでなくプロセスに注目し、結果に至った理由を分析することが不可欠です。失注に至った場合も、「なぜ失敗したのか?」という原因を正確に見つめ、結果管理・営業管理を徹底しましょう。
案件管理
案件管理も、営業マネジメントの役割のひとつです。
案件管理とは、営業メンバーの商談の進捗状況を確認し、成約に向けて管理を行う取り組みを意味します。営業計画を大きく外れている場合は、プロセスごとに原因・要因を把握しなければなりません。進捗管理の結果、商談成功のボトルネックとなる事項がある場合は、的確な説明やアドバイスを行い、解消する必要があります。
モチベーション管理
営業マネジメントには、モチベーション管理の取り組みも含まれています。
ここで言うモチベーション管理とは、メンバーとコミュニケーションを取り、目標達成に向けた指導やアドバイスを行うことです。営業担当者が「チームに貢献しよう」というやる気を持ってくれるため、エンゲージメントの向上につながります。
モチベーションを高めるためには、営業パーソン一人ひとりの性格や個性を把握する必要があります。その人に合った接し方をするように工夫することが重要です。仕事内容の不備を指摘するような指導では効果は期待できません。その人自身の悩みや問題に寄り添った解決策を提示してあげることが重要です。
メンバーが働きやすい環境を整備することもモチベーション管理の一環です。ITツールの導入、評価制度の見直しなどの管理業務を行うと、メンバーの働きやすさが改善されます。
人材育成
人材育成のために営業マネジメントを行うこともあります。
部下を指導し能力を成長させることで、チーム全体の生産性を高めることや底上げを図ることが、人材育成の主な目的です。企業が求める営業の理想像を明確にし、近づくためのプロセスを言語化することが重要となります。
社内でロールモデルとなる人材を探し、アンケートなどを通して行動特性を把握するのも効果的です。行動特性とは、個人が特定の行動に移る際の理由や考え方のことを意味します。成約率が高い優秀なキーマンのアプローチを分析し、営業ノウハウを他の人材にシェアすることで、チーム全体の営業力強化を実現できるほか、属人化の回避にもつながるでしょう。
個々の営業担当に対して実施するコーチングなどは、人材育成のための代表的な取り組みです。外部のセミナーに参加させることも有効です。
営業マネジメントの効果を高める方法
営業マネジメントの効果を高める方法として最も導入しやすいのがすでに述べた営業マネージャー研修ですが、そのほかにも次のような方法があります。
- 営業支援システム(SFA)を導入する
- 社内の連絡体制を強化する
これら2つの方法について、解説していきます。
営業支援システム(SFA)を導入する
マネジメント業務をより効率化させるための方法として、営業支援システムの導入が普及しています。
営業支援システムとは、営業活動に必要な情報を一括管理し、分析するためのツールのことです。「Sales Force Automation」の頭文字を取ってSFAとも呼ばれています。CRM(顧客情報管理システム)と並び、営業組織やマーケティング組織で一般的に導入されているツールです。BtoCと比較して取引額が大きくなる傾向があり、顧客との関係性構築が大事なBtoBの領域では、特に活用されているツールです。
SFAには、顧客管理や商談管理、案件管理、売上予測、営業プロセス管理などの機能が搭載されています。継続的に利用することで営業活動の可視化につながり、営業マネージャーによる課題の把握や改善策の提案がスムーズになるでしょう。訪問営業に行った際はモバイル端末から日報を提出できるため、営業効率の向上にもつながります。法人営業活動をサポートするツールとして、活用することをおすすめします。
社内の連絡体制を強化する
社内の連絡体制を強化することでも、営業マネジメントの効果を高めることができます。個人のノウハウをチームで共有しやすくなり、メンバー全員が活用して結果につなげられる可能性が高まるからです。
営業は個人プレイで成果を出していくような側面があるため、ナレッジが個人にとどまり共有されにくい傾向があります。しかし社内の連絡体制を強化すれば共有しやすくなります。
そのほか、たとえば問い合わせの窓口と営業担当者が異なる場合など、しっかりした連絡体制が確立されていれば、成果につながる情報も連携して伝えることが可能です。それによってチャンスロスを防ぐことができるようになります。
「営業マネジメントを導入して営業の目標達成を目指そう」
営業マネジメントの意味や効果について紹介しました。営業マネジメントを実施することで、営業の目標達成が近づきます。営業マネジメントを行う際は、目標管理、行動管理、案件管理、モチベーション管理、人材育成といった役割を意識することが大切です。自社で営業マネジメントを内製化することもできますが、外部の専門事業者のサービスを利用すると、時間をかけずにマネジメント力が高い人材を育成できます。営業チームの組織力向上を目指している場合は、社員教育研究所の「組織力向上研修」をぜひご利用ください。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。