これからの時代に勝ち残る経営者に必要な能力とは

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2015年9月4日(金)

これからの時代に勝ち残る経営者に必要な能力とは

管理者能力からイノベーション能力へ

本来、経営者に不可欠な能力には管理者能力とイノベーション能力があります。会社の創業期にはイノベーション能力が重視され、徐々に企業規模が大きくなり成長期を迎えると管理者能力が経営者に強く求められるようになります。また経営を取り巻く環境に大きな変化がない時期は管理者能力が、急激な変化が訪れた際にはイノベーション能力が重要性を高めるのです。

現代の日本企業は、成長期から成熟期に移り、新たな再創業、事業再構築を実行しなければならないステージに来ている企業が多くなっています。また技術革新のスピードアップ、国際環境の変化、人口構造の変化など経営環境も激変の時代を迎えています。

この状況において、これから勝ち残る経営者に求められているのがイノベーション能力、言い換えると自ら変革の担い手になるチェンジリーダーの資質です。日本においては大企業でも中堅・中小企業でも、チェンジリーダーとしての経営者層の人材は不足気味であるといわれています。偉大なる経営学者のドラッカーは晩年に、日本企業の弱点は経営トップにありという警告を出しています。現場は強いが経営力に難点があると乱気流時代を乗り越えることはできないということです。

かつて写真フィルムの巨人であったコダックに替わって一時代をリードした富士フィルムは、デジタル革命の進行の中で本業消失という危機を迎えました。しかし同社はその事態に立ち向かい、医療や化粧品といった新分野進出を短期間で実践し事業構造を一変させるというイノベーションに成功しました。この改革を率いた古森重隆氏などは、日本のチェンジリーダー経営者の代表ともいえます。

今の事業が永遠に続くと考えずに、この事業がダメになったらどうするかという危機感を持ち、事業創造の決意を固める経営者だけが生き残ることができます。変わることにはリスクがありますが、チャンスをもたらすには変革の担い手になるしかありません。今が一番でも、明日も一番でいるという保証はないのが現代の経営環境なのです。 このチェンジリーダーとしての経営者に求められる代表的なイノベーション能力として「状況把握力」「事業構想力」「情熱と品格」の三つが挙げられます。

イノベーション能力とは

(1)状況把握力

現場は情報の宝庫です。現場を軽視する経営者に明日はありません。自社の商品、販売チャネル、ユーザー、調達先、社内・社外の人材に目を向け、今何が起きているかを把握する能力が第一です。そこから、次世代の成長の芽となる商品や技術、顧客や人材を見つけ出します。経営者自らが率先し、各部門からもつねに成長に結びつくヒントを報告させることが大事です。

(2)事業構想力

イノベーションを図るための事業構想をまとめ上げる能力が第二に求められます。状況把握で収集した情報をとりまとめ、社内の隅々にまで小さなイノベーションを実践できる仕組みを作り上げると同時に、全社的な事業見直しを行い、必要とあればダイナミックな構造変革をリードしていく必要があります。

数あるアイデアの中から優先順位をつけて、注力すべき大きな方向性を示す戦略立案を行うということと同時に、具体的な実行にあたってはチェックリストを作って漏れのない詳細な戦術プランを準備することが重要です。こうした戦略や戦術を含む事業構想力は、経営者といえども一朝一夕には取得できません。常日頃から小さなプロジェクトでもよいので事業構想を考えるという経験を積み重ねるのと同時に、経営者自らが研修などで能力向上を図っていくことが求められます。

(3)情熱と品格

イノベーションを遂行するには大きなエネルギーが必要です。次々に襲ってくるリスクや障害、それに耐えうる力が経営者に求められます。社員の誰よりも執念を持って改革の断行を進めていかなければなりません。決して手を抜かない情熱が必要となります。

また、イノベーションの実行においては経営幹部や社員の理解と、改革実行に向けたモチベーションの向上が重要です。そのためには常日頃から関係するメンバーひとりひとりに目配りをしながら、対話を重ね、現場の意見聴取を行ったうえで、改革案の説得を行う高度なコミュニケーション力が経営者に備わっていなければなりません。トップのメッセージが伝わらなければ組織は動かない。そして人は機械のようには動いてくれないのです。

経営者の信用を高め、組織の構成員の心を一つに束ねることのできるような品格を経営者は備えるようにしていかなければならないのです。

能力向上に向けて

経営者が率先してイノベーション能力を養成し、経営幹部や社員をリードすることは言うまでもありません。しかし経営者の主要機能は意志決定であり、実行の役割は幹部や社員であるということを考えれば、経営者も幹部や社員もイノベーション能力を強化していかなければなりません。

経営者だけが学んで、幹部や社員は変化なしではいけませんし、また幹部や社員だけが学んで経営者が変化なしでは、イノベーションは成功しません。変革を成功に導くためのイノベーション能力向上のためには、全社を挙げての仕組みづくりと学習の場が設定されなければならないのです。



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