管理職の実力は叱り方に出る!ダメな叱り方と良い叱り方とは
2016年11月18日(金)
管理職は通常の仕事をこなすだけでなく、預かった部下の管理を行い、自分が持った組織を上手に運営して更に成果を伸ばすという責務を担っています。
この目標を達成するためには部下のミスにも付き合わなければならず、再発防止のためにも部下を叱らねばならないこともあると思います。
しかし、叱り方次第では部下を委縮させることにも繋がりますので、微妙な力加減で伝えなければならず、難しさを感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。
なぜ「叱る」必要があるか?
会社は専門技能を兼ね備えた人材が集まって運営されている組織であり、それぞれの特徴を寄せ合わせ換言し、互いの欠点を埋め合わせることによって利益の最大化をはかるという特徴を持っています。
これは仕事上のミスについても同様のことが言え、誰かがミスをした際には周囲の人がそのミスを補いフォローすることで、サービスの提供という最終目標を目指します。これが組織的な仕事の必要性です。
それではなぜ「叱る」必要があるのでしょうか。
「叱る」という行為は、単にミスをした人に対し不平不満をぶつけることと根本的に意義が異なります。
最低限して欲しい、もしくはやるべき仕事の量や質のラインを下回っていることで問題となります。つまり、叱るという行為は仕事のクオリティを底上げするために行う必要があるのです。叱る側は、基本的なこの考えを認識した上で、叱咤と不平不満や愚痴を決して同等のものとして考えずに、叱ることの必要性について考慮した上で叱るようにしてください。
叱り方しだいで良い方向にも悪い方向にも
叱り方には善し悪しがあり、悪い叱り方をすると部下の反感を買うだけでなく、組織としても腐ってしまう原因になり得るため、充分に注意しなければなりません。
悪い叱り方とは、感情をむき出しにして相手を貶したり名誉を傷つけたり、思いの丈を述べるに留まる叱り方で、今後の仕事に活かされないような叱責となります。また他の社員と比較するのもあまり良い方法とは言えず、「○○はもっと頑張っている、こんなミスはしない」といった叱り方は避けるようにしましょう。
この他にも比較の引き合いに自分を出すのもあまり良い方法とは言えません。「俺が新入社員だった頃は…」といった叱り方は、或いは参考になるかもしれませんが、その頃とは人員も環境も変わっていて、叱られる側の精神状態や性格なども人それぞれです。自分とは全く違うタイプの人間である可能性の方が高いため、自分と比較して叱ることは受け入れられないことが多いでしょう。
また、叱り過ぎることは部下が委縮することにも繋がり、チャレンジ精神も削がれ、部下が持っている本来のパフォーマンスを最大限に引き出せなくなる可能性があります。そのため、管理職は部下のミスに対して細心の注意を払って臨むべきだと言えます。
良い叱り方ってどんな叱り方?
ひとえに「良い叱り方」と言っても、人それぞれで性格が異なるため、この叱り方をしていれば万事上手にいくというわけではなく、タイプによって柔軟に叱り方を変化させる必要があります。
心のタイプを外向型、内向型、感情型、論理型の4種類に分類すると、それぞれのタイプに合った理想の叱り方は以下の通りとなります。
(1)外向型
物事の判断基準を周囲に合わせるため、一緒に仕事をしている周囲の人間に対し、ミスがどのような影響を及ぼすのかを教えてあげるような叱り方が理想的です。「みんなが思っていること」を解説出来る叱り方をしてください。
(2)内向型
物事の判断基準は自分の中に持っている法則にありますので、誰かと比較するような叱り方は特にNGとなります。完全否定するような叱り方や、論理的に問い詰めて心の逃げ場所を追い詰めていくような叱り方も、心の傷を広げることになるため避けるべきです。
(3)感情型
長々とした説明を嫌うタイプですので、インパクトの大きい言葉で端的に叱るのが良いでしょう。余計な言葉は省いて必要なことだけを叱るようにしてください。
(4)論理型
理屈が通っていないと憤りを感じるタイプのため、なぜしてはいけないのか、なぜルールが設けられたのかなどを論理的に解説するような叱り方をするのが良いです。
叱り方と一緒に褒め方についても考えてみましょう
規則に従って行動できなかった際には叱る必要があるかもしれませんが、叱るという行為はマイナスをゼロにする力はあっても、ゼロをプラスにする力はありませんので注意しましょう。
ゼロをプラスにするためには褒めるという行為が必要となり、叱ることと褒めることのバランスが取れていることが人材育成能力の高い人ということになります。
褒め方についても叱り方と同様に奥が深く、人によって的確に褒められるようになると部下の能力も飛躍的に伸びていきますので、ぜひ褒め方も学んでいくことをお勧めします。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。