リーダーに求められるマインドセットとは?教育時の注意点
2017年1月16日(月)
一般的に「リーダーシップ」と呼ばれる能力は、簡単に身に付くわけではなく、むしろ生まれ持った資質と考えてしまいがちです。リーダーシップは経営者や中間管理職の方など、社員を束ねる役職についている人にとって重要なスキルであり、事業成績にも直結する必要な能力とされています。
もし仮に「資質」の一言でリーダーシップを表現するのであれば、ほとんど全ての管理職が頭を悩ませることになってしまいそうですが、現実には「良い上司」「良い経営者」が多くいることも事実であり、このことからもリーダーシップが単に資質の問題であると言い切れないことが分かります。
それでは、どのような方法を用いればリーダーシップを育むことが出来るのでしょうか。ここでは「マインドセット」という観点から見ていきましょう。
マインドセットとは?
マインドセットとは「当人が、今までの生活の中で得てきた経験から作られる思考の構造や心理状態、価値観や理念」を指します。その人の思考回路、どのような手順で物事を考えるのか、どのような価値観によって行動しているのか、また、問題に対しどのような心理が働くかなど、精神と思考の動き方を意味しており、マインドセットの如何がリーダーシップの資質と大きく関係しているのです。
一般的に言われている、いわゆる「リーダーシップのある人」は、マインドセットが優れているからこそ、人々をまとめる能力に秀でているのだと言うことが出来ます。
リーダーシップはなぜ必要か?
リーダーシップとは、簡単に言えば「人を束ねる能力、資質」ですが、ではなぜビジネスの現場で必要になるのでしょうか。
そもそも企業は特定の技能を持った人々が集まる組織で、仕事に従事する人材こそが中核を成すことになり、その人材がそれぞれの能力を発揮してこそ、最高のパフォーマンスを実現することが可能となるのです。そしてリーダーシップは、個々の分散された力を1つにまとめ上げるために必要なのです。
せっかく個人の能力が高かったとしても、組織がその能力を抑えてしまうこともあり、このような状態を回避するためにもリーダーシップが必要であると言えるでしょう。
まずは自分を「変化」させ、「率先」して行動する
リーダーに必要となるマインドセットは、「変化」「率先」「指導」「倫理と思考」の4種に大別することができます。そして、この中でもすぐに身に付けられるのは「変化」と「率先」です。
周囲を変えることは出来なくても、自らのことなら簡単に変えることができます。変化と率先は似ており、考え方としては自分が変化し率先して物事に取り組めば、他の人員の心を動かすことに繋がる、というものです。最たる例を挙げるならば「率先して仕事に取り組む」「普段はやっていないことでも率先して取り入れていく」ことです。
組織は基本的に下の者が上の者に従うという特性を持っています。例えば社長が掃除をすれば、それを見た部下も掃除をすることになるでしょう。リーダーが率先して何かに取り組むことは、部下を動かすためには非常に重要と言えます。社員にとって最初は嫌々行っていることであったとしても、定着することで次第に社風となることに繋がりますので、「変化」と「率先」はリーダーの資質の中でも最も重要な心構えです。
「指導」は論理的に
部下への「指導」もリーダーにとって重要な要素です。リーダーが行う部下への指導は、論理的、合理的に行う必要があります。最もやってはいけないパターンは、感情的に頭ごなしに命令する方法です。まずは論理的な思考によって問題点を洗い出し、具体的に何が問題となっているのかを伝える必要があります。
ここで大切なことは「指導」と「命令」をしっかりと区別して考えなければならない点です。指導は相手の自主性を損なわないよう行われるのに対し、命令は相手のやる気を削いでしまう教え方、という差があります。命令によって、部下や企業の成長は見込めなくなってしまうでしょう。
固定観念にとらわれないことも大切
これまで行ってきたタスクを継続して行わなければならない場合、既に仕事の仕方が出来上がり固定観念が形成されているため、新しい考え方は排斥されてしまうことが多くなりがちです。しかしながら、この固定観念や既存の価値観は、新規事業や業績向上に対し悪影響を及ぼすことになりますので注意が必要です。
部下が報告した新しい考え方を排除するのではなく、これまでの考え方と冷静に比較し、論理的、合理的に利益があるのであれば積極的に取り入れる必要もあります。部下を何でも言い合える仲間として位置付けることは、リーダーが持つべき器の大きさとなります。
リーダーが持つべきマインドセットは、部下をひとつにまとめるために必要であり、業績向上のためにも重要です。「良い上司」、「良いリーダー」になるためには、寛容の精神を持って部下と付き合っていかなければなりません。