チームリーダーに求められるマインドセット
2017年1月16日(月)
2023年12月11日(月)
一般的に、「リーダーシップ」と呼ばれる能力は簡単に身に付くわけではなくむしろ生まれ持った資質と考えてしまいがちです。リーダーシップは経営者や中間管理職の方など、社員を束ねる役職についている人にとって重要なスキルであり、事業成績にも直結する必要な能力とされています。チームリーダーについても同じことが言えます。
もし仮に「資質」の一言でリーダーシップを表現するのであれば、ほとんど全ての管理職が頭を悩ませることになってしまうでしょう。しかし現実には「良い上司」「良い経営者」が多くいることも事実です。このことからもリーダーシップが単に資質の問題であると言い切れないことが分かります。
それでは、どのような方法を用いればリーダーシップを育むことができるのでしょうか。ここでは「マインドセット」という観点から見ていきましょう。この記事では、以下の内容を具体的に解説していきます。
- マインドセットとは経験から作られた精神と思考の働き方のことで、リーダーシップに大きく関係する
- リーダーシップは人を束ねる能力のことで、全体をまとめつつ個々に最高のパフォーマンスを発揮させるために必要
- リーダー自らが率先して変化することでチームにもよい変化が生まれる
- 固定観念にとらわれず客観的に判断して柔軟に対応することも大切となる
では、順に見ていきましょう。
マインドセットとは?
マインドセットとは「当人が、今までの生活の中で得てきた経験から作られる思考の構造や心理状態、価値観や理念」を指します。その人の思考回路、どのような手順で物事を考えるのか、どのような価値観によって行動しているのか、また、問題に対しどのような心理が働くかなど、精神と思考の動き方を意味するものです。マインドセットの如何がリーダーシップの資質と大きく関係します。
一般的に言われている、いわゆる「リーダーシップのある人」は、マインドセットが優れているからこそ、人々をまとめる能力に秀でているのだと言うことができます。
リーダーシップはなぜ必要か?
リーダーシップとは簡単に言えば「人を束ねる能力、資質」ですが、ではなぜビジネスの現場で必要になるのでしょうか。
そもそも企業は特定の技能を持った人々が集まる組織で、仕事に従事する人材こそが中核を成すことになります。その人材がそれぞれの能力を発揮してこそ、最高のパフォーマンスを実現することが可能となるのです。チームの中ももちろん同様です。そしてリーダーシップは、個々の分散された力を1つにまとめ上げるために必要なのです。
せっかく個人の能力が高かったとしても、組織がその能力を抑えてしまうこともあります。その対策としてチームがそのような状態にならないようマネジメントするためにも、チームリーダーにはリーダーシップが必要であると言えるでしょう。
まずは自分を「変化」させ、「率先」して行動する
リーダーに必要となるマインドセットは、「変化」「率先」「指導」「倫理と思考」の4種に大別することができます。そして、この中でもすぐに身に付けられるのは「変化」と「率先」です。
周囲を変えることはできなくても、自らのことなら簡単に変えることができます。変化と率先は似ています。自分が変化し率先して物事に取り組めば、他の人員の心を動かすことに繋がるからです。最たる例を挙げるならば「率先して仕事に取り組む」「普段はやっていないことでも率先して取り入れていく」だと言えます。
組織は基本的に下の者が上の者に従うという特性を持っています。例えば社長が掃除をすれば、それを見た部下も掃除をすることになるでしょう。チームでも、チームリーダーが率先して何かに取り組むことは、メンバーを動かすためには非常に重要と言えます。メンバーにとって最初は嫌々行っていることであったとしても、定着することで次第にチームの文化・空気となることに繋がります。よって「変化」と「率先」はリーダーの資質の中でも最も重要な心構えです。
「指導」は論理的に
メンバーへの「指導」もチームリーダーにとって重要な役割です。リーダーが行う部下への指導は、論理的・合理的に行う必要があります。最もやってはいけないパターンは、感情的に頭ごなしに命令する方法です。まずは論理的な思考によって問題点を洗い出し、具体的に解決すべき課題を伝えるのがあるべき姿です。
ここで心得ておくべきことは「指導」と「命令」をしっかりと区別して考えなければならない点です。指導は相手の自主性を損なわないよう行われるのに対し、命令は権限を盾にして相手のやる気を削いでしまう教え方、という差があります。命令によって、部下や企業の成長は見込めなくなってしまうでしょう。命令は避けるよう意識して業務にあたる必要があります。
固定観念にとらわれないことも大切
これまで行ってきたタスクを継続して行わなければならない場合、新しい考え方は排斥されてしまうことが多くなりがちです。既に仕事の仕方が出来上がり固定観念が形成されているからです。しかしながら、この固定観念や既存の価値観は、新規事業や業績向上に対し悪影響を及ぼすことになりますので注意が必要です。
部下が報告した新しい考え方を排除するのではなく、これまでの考え方と冷静に比較し、論理的、合理的に利益があるのであれば積極的に取り入れる必要もあります。部下を何でも言い合える仲間として位置付けることは、リーダーが持つべき器の大きさとなります。
リーダーが持つべきマインドセットは、部下をひとつにまとめるためにも業績向上のためにも重要です。「良い上司」「良いリーダー」になるためには、責任感や理想を求める意思のほか、柔軟さ、さらにはメンバーやメンバーの提案に対して適正な評価を行う姿勢が必要とされます。これらは4つのマインドセットのうち「倫理と思考」に該当すると言えるでしょう。
まとめ
リーダーとしてのマインドセットは集団に大きな影響を与えます。チームリーダーとチームにおいてももちろんそれは当てはまります。自ら率先して行動し、論理的・キャン的であることでチームがよい方向に進んでいきます。
チームリーダーとしてのマネジメント経験から学んだことは、課長や部長などより責任ある立場となったときも役に立ちます。チームリーダーとなる人はその点を意識しましょう。またチームリーダーを選ぶ側にある場合は、長期的な育成を考慮して選び方を考えましょう。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。