部下のメンタルケアの重要性と方法
2017年5月18日(木)
近年、ストレスが要因で出社拒否となったり、心の病が原因となって退職する人が増えています。大切な人材が心の病で辞めていけば、就労状態や人材確保など、さまざまな問題が生じてくるでしょう。そのため、会社を支える社員が心身ともに健康でやりがいを持ち、残念な原因で辞めることのないように、メンタルケアが重要となってきます。部下の仕事の進捗状況を把握することだけではなく、心のバランスを図るメンタルケアに注意すれば、スムーズに仕事が進んでいくでしょう。
上司に求められるメンタルヘルス管理
上司は部下に仕事だけを指導すればよいのではありません。メンタル管理を行うことも重要な仕事のひとつに位置付けられているのです。仕事に対して多少のストレスは感じるものの、やる気がストレスを上回れば、弱い心に支配されることもありません。しかし、仕事そのものが大きなストレスとなれば、出勤することさえ苦痛に感じる人もいるのです。そのような部下に対しては、心のケアをすることが重要です。
上司が部下のメンタルを乱すことも
上司は部下に対して威圧的な態度をとらないようにしましょう。仕事上、部下を一人前に育てることは非常に大切です。しかし、仕事のミスを指摘するだけでなく、感情を露わにしてきつく叱責することで、部下は深く傷ついてしまいます。上司は部下によかれと思い行っていることであっても、度を越えていればそれはモラハラとなってしまうので、注意しなければなりません。
上司が部下に行うメンタルケアについて
ストレスによって部下の心がダウンしている状態であれば、メンタルケアを行う必要があります。見て見ぬふりをして普段通りに仕事を続けさせても、仕事がスムーズに進むことはないでしょう。心に大きな負担を抱えたまま仕事に没頭しようとしても、心と体がついていかずに業務に支障をきたし、ひどくなればうつ病のような症状が出る可能性が高いのです。部下の状態をいち早く察知し、ケアすることが必要です。
異変を察知する
部下の状態がいつもと違う、何かおかしいとすぐ気づけるように、常にアンテナをはっておきましょう。簡単な仕事なのにミスを連発していたり、いつもとは挨拶の仕方が変わったり、明らかに元気がない場合には注意しましょう。このような症状が見られる場合、心に大きな負担がかかっていることが予想されるからです。
話を聞く
部下の様子が明らかにおかしいと異変を感じた場合には「何か困ったことがあればいつでも相談に乗るよ」などと声がけをするのではなく、じっくりと話を聞いてあげましょう。何か大きなトラブルを抱えている場合、こちらまで巻き込まれたら面倒だと思うようでは、上司失格です。
話を聞きたいからといきなり呼び出すのも、部下を恐縮させてしまう場合がありますから、休憩時間やちょっとした空き時間を使って「何か困っていることはない?」と直接話を聞いてみましょう。話しやすい環境なら、悩みを抱えている部下は上司に話をしてくれるでしょう。ひとつ気を付けたいことは、部下が勇気をもって話した内容を漏らさないことです。部下が上司を信用して話したにもかかわらず、その内容が漏れてしまうと、部下の心を傷つけ、精神的負荷が大きくなり出社拒否となってしまうかもしれません。部下との会話は絶対に漏らさないことが大切です。
休むことを提案する
部下が心に大きな負担を抱え精神的に参っている状態であるなら、少し休息をとるように勧めましょう。仕事を頑張ったところで心身の負担が大きければ、ストレスも大きくなり、どんどん深みにはまってしまいます。心の負担を取り除くためにも、仕事を続けるのではなく休息をとることを勧めるのです。そして心身ともにリフレッシュできれば、また仕事に打ち込めるでしょう。休息は、メンタルバランスを健やかに保てる重要な手段なのです。
うつ病かもしれないと感じた場合には
部下の状態がうつ病かもしれないと感じた場合は、休息を勧めるだけでは改善しないでしょう。会社に勤務医や産業医がいるなら診察をしてもらう必要があります。また、会社に医師がいない場合には、精神科や心療内科への受診が適切な処置となります。医療機関を受診することを勧めても、部下は「大丈夫です」「問題ありません」などと受け答えをする場合があるでしょうが、適切な処置を早めに行うことが早期改善にもつながります。
早期発見はメンタルケアから
部下のメンタルケアを行うことは大変だ、難しいと思うかもしれませんが、あまり難しく考える必要はありません。毎日の業務にプラスして部下の様子を見る、話を聞き対処することを行えばいいのです。普段から部下を見ていれば、不調があるのかどうかがわかります。話しやすい環境を作り、話を聞き、それに対して適切な処置をとることがメンタルケアにつながるのです。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。