「さとり世代」に対する新卒教育のポイント
2018年3月16日(金)
1987年以降に生まれた者は「ゆとり世代と呼ばれ、かつては理解し難い世代と揶揄されることも多かったでしょう。しかし、時代が移り変わるにつれて、その世代のもつ豊かな発想や、既成概念にとらわれない働き方などが評価される社会になってきました。そしていまや、ゆとり世代が逆に新人教育を行い、1994年生まれ以降の「さとり世代」と呼ばれる方々が社会に進出する時代なのです。
さとり世代は生き方の価値観や、情報への触れ合い方などがこれまでの世代と決定的に違うとも言われています。そのため、これまでの新卒教育で効果的だったノウハウが全く意味を為さなくなってしまうというケースも容易に起き得るのです。ここでは、そんなさとり世代の新卒者に対し、どのような教育を行えば良いのかについて解説していきます。新たな世代の新卒教育に悩んでいる方や、ゆとり世代の先輩社員の方も必見です。
さとり世代は情報を取捨選択してきた世代
1994年以降に生まれた若者の特徴としては、家庭用パソコンの普及や情報インフラの整備と共に成長してきた点が挙げられます。小学校低学年の頃には既にパソコンに触れていたという方もいるほどで、よりインターネットを身近に感じ生活しているでしょう。つまり、常に過剰にあふれている情報を取捨選択するようになって育ってきた世代と言えるのです。
また、さとり世代の特徴として、安定を最優先に考えるという特徴もあります。これは、上のゆとり世代の失敗例を間近で感じたり、不安定な社会に悩む大人を見ながら成長してきた側面があることが考えられています。具体的な例としては、角が立つ発言は避けたり、買い物は安くて良い物を選んだりするという点であったり、車や海外旅行などのこれまでステータスとされていたものを欲しがらないなどが挙げられるでしょう。
自由な生き方を否定されることを嫌う
波風が立つような冒険を避け、安定感を求めて育ってきたさとり世代ですが、裏を返せば挑戦を求められることも少なく、それによって否定されたり失敗した経験が少ない世代とも言えます。出る杭は打たれると言いますが、そもそも杭を出さないというのがさとり世代なのでしょう。
しかしその反面、この世代には自分らしさを尊重するという一面もあります。さとり世代の思春期は、SNSの黎明期と共に歩んでいます。そのため、さまざまな大人の生き方を情報として体感し、自分らしい生き方についてしっかりと考えている方も多いと言われているのです。「世の中にはこういう人がいるが、自分はこういう考えを持ち生きており、それを理解してくれる仲間はしっかりといる」という考え方を大切にする世代でもあるため、「一般的にはこうだよ」「常識的にはこうだよ」という注意が、説得力を得ない世代とも言えるかもしれません。
さとり世代の教育には安心させる職場づくりが大切
さとり世代は安定を求める傾向にあるとご説明しました。そのため、会社がどれほど安定し、かつ信頼できるのかというのが、労働意欲に直結しているとも言えるのです。安定感を求めるということはつまり、それだけ危機意識が強いとも言えます。会社は用心深くする場所だという認識を取り去り「信頼していい場所なんだ」「私はここにいていいんだ」と実感させてあげることが大切です。
職場が安定感や安心感において信頼できる場所ということが分かれば、次第に意識は変わり、「自分の居場所はここだ」という労働意欲につながると言えるでしょう。その人それぞれに合わせた向き合い方を大事にし、新人の言う事にもしっかり耳を傾けて理解してあげることが大切でしょう。
むやみに叱らない
さとり世代の新人が失敗をしてしまったとき、なぜ?どうして?と問い詰めてしまってはいけません。一方的に詰め寄ることは、ただ謝らせてしまうだけで終わってしまいます。これまで安定を求めて失敗しないように生活してきたからこそ、自分が失敗してしまった事実は非常にショックなものなのです。頭を抱えさせてしまうことで、結果的には能率の低下にもつながると言えるでしょう。怒られたことに対する反省を最優先させるのではなく、なぜこうなったのかを導き考えさせ、自分自身で納得する過程を優先することが大切です。
また、感情的に怒られることに慣れていない世代でもあるため、怒られる=拒絶されたという図式が頭の中で組み上がる方も多いとも言います その結果「会社から拒絶されてしまったならば、私も拒絶しよう」という悪循環に陥ることもあり、注意する必要があるでしょう。特に、怒られている論理が本人の中で通らない場合は、より感情的な拒絶として認識を強めてしまいます。
安心を保証することが意欲につながる
不安定な世の中を見て育ってきたさとり世代は、より安定している環境を求めます。雇用条件や職場環境はもちろん、自分自身がその場所にいることで安心できるかどうかは、働くモチベーションに直結します。さとり世代の特性を見極めて、その人にあった新人教育をしてあげることで、よりよい職場環境を整えていくことにつながるでしょう。