海外と日本の社員教育
2018年4月30日(月)
社員教育に力を入れている企業の場合、定期的に研修を実施したり、常日頃から社員に意識向上を促したりといった、さまざまな取り組みを実践しています。日本では多くの企業が旧態依然とした社員教育を行っていますが、海外における社員教育はどうなっているのか、と疑問を持たれた方もおられるでしょう。そこで、ここでは日本と海外における社員教育に対する考えや違いなどについてお伝えしたいと思います。
日本で働く外国人は多い
グローバル化がますます進む日本においては海外で働く方も増えていますし、逆に海外から日本へ働きに来る方も増えてきました。グローバル採用枠を設けている企業も多く、海外からの留学生を積極的に採用している企業もあります。日本で働く外国人は今後も増加すると考えられますが、外国人の社員教育に頭を抱えている方が少なくないのも事実です。日本人と外国人とではあらゆる考え方や価値観が異なりますし、それは働き方や会社に対する考えなども同様です。これまでの日本人の新入社員に対する教育を、海外出身者に行ってもうまくいきませんし、まずは海外と日本における社員教育に関する違いなどを知る必要があります。
海外では議論を重視する
海外の企業では末端の社員が重役に直接意見を述べるようなことも珍しくありませんが、日本の企業ではとてもそんなことはできません。下から順番にトップへ情報を伝えるようなシステムが出来上がっていますし、平社員が専務や社長に直接意見を口にするなどとんでもないことだと考えられています。また、日本人は新人に対して弁えることを求めがちですし、例え新人がアイデアを出したとしても「新人なのに弁えろ」となってしまうケースがほとんどです。海外では「弁える」という考え方はありませんし、良いと思ったこと、伝えるべきことは相手が上司だろうと自分が新人だろうと発言します。
残業が美学のようになっている日本
サービス残業の問題や、それに伴う社員の負担増などがメディアでも取り上げられるようになりましたが、日本では古くからサービス残業が美徳のようにされてきました。遅くまで残って仕事を続けることが美徳であり、そうした姿勢が仕事に情熱を持っていることの証のように思われてきたのです。
しかし、外国人にとってこれは理解できないことです。実際、外国の方が日本で就職し、効率よく仕事を進めて毎日定時に帰宅していたところ上司から仕事に情熱が感じられないと言われショックを受けた、という話もあります。日本では未だにこうした考えが残っている節があり、こうした環境を改善しない限り外国人の社員を上手に使うことはできないでしょう。
海外では女性が活躍している
日本でも女性の社会進出は著しく、女性が活躍している職場もたくさんあります。しかし、やはり海外に比べるとまだまだごく一部で、どうしても男性が優位に立つ企業が多いのが実情です。しかし、こうした部分に違和感を覚える外国人の方も少なくありません。未だに男尊女卑の傾向が目立つ企業も少なからず存在するでしょうし、海外から働きにやってきた女性が驚いてしまうこともあるようです。
海外では女性が重役に就くことも珍しくありません。今現在日本の企業で重役に就いている方も男女平等の考えは理解すべきでしょう。男女関係なく実力に応じて評価してもらえる会社だと理解されれば、外国人社員の教育も円滑に進めることができます。実際にそのような企業に生まれ変わり、女性の活躍を認めることができる企業でなければなりません。
日本と海外ではあらゆる部分で異なる
既にお話ししたように、日本と海外ではあらゆる部分で違いがあります。国を取り巻く状況や生まれ育った環境などによって価値観や考え方が異なりますし、日本人と同じ感覚を持てというのは無理のある話です。今後も日本企業で働こうと考える外国の方は増えていくと思われますが、能力を最大限に発揮して活躍してもらうためには外国人の考え方や価値観を理解し、その上で研修、教育を実施していくことが望ましいです。
これからの時代では「日本ではこうだから」「今までもこうしてきたから」という理屈は通らないため、企業で考えを改めるべきでしょう。あらゆる部分で違いがあるのは当然ですから、それを理解したうえで社員教育を考えなくてはなりません。
理解する努力が必要
日本人と外国人とではあらゆる面で考え方や価値観が異なります。それを理解しておかないと社員教育どころの話ではありませんし、分かり合う前に職場から去ってしまうでしょう。今後日本で働く外国人はさらに増える見込みが大きいため、外国人社員の教育については真剣に取り組んでいく必要があります。
自社内での解決が難しいのであれば、社員教育のプロにアドバイスを求めるのも良いかもしれません。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。