メンター制度が与える影響、メリットとデメリットとは
カテゴリ:中堅社員研修 コミュニケーション研修
2019年3月10日(日)
近年、社員指導の手法として「メンター制度」が注目を集めています。通常の人材育成と比べ、より密な指導環境を築けるとして広く重宝されている手法です。世界的に有名な大手企業で積極的に採用されていることも、理由のひとつでしょう。しかし、メリットあるものにはデメリットも伴うのが実際のところです。メンター制度のメリットとデメリット、その両面をしっかり把握した上で、効果的に活用してみてください。
メンター制度とは
メンター制度は、人材を育てる上で効果的とされる方法です。メンターを直訳すると、「師」となります。つまり、対象となる新人や若手に社内に師となる人間を設定し、関係を密にして育成を行う、といった制度なのです。
メンターとなる人選はとても重要です。対象となる若手育成の命運を握っているので、生かすも殺すも指導力次第となってくるでしょう。そのため、メンターとなるべき人物には他チームや他部署の人間をあてるべきでしょう。より客観的かつシステム的に接することができるので、メンター制度の力が発揮されやすくなります。
また、覚えておくべき専門用語もあります。例えば、メンターサポートを受けることを「メンタリング」、サポート受ける側の人を「メンティー」と呼びます。メンター制度を導入している会社では、日常的に使用していることも多いので覚えておきましょう。
メンターとOJTの違い
メンター制度の導入を考える上で、気になるのがOJTとの違いではないでしょうか。OJTとは、「On the Job Training」の略であり、そのまま業務上における実践的な指導を意味しています。メンターもまた、業務レベルを高めるためのサポートであるため、同じような意味に感じるかもしれません。ですが、両者は全く別物です。
OJTが業務スキルに関する指導である一方、メンターは業務指導のほか、社会人としての悩みを聞いたり、さらには個人的な相談相手ともなったりします。つまり、社会生活全体における先輩、師となるのです。まだ不安で不慣れな新人や若手からすれば、心強い存在となり、大きな安心感を得られるでしょう。そんな面こそが、メンター制度が広がりをみせている理由といえます。
メンター制度のメリット
メンター制度の特長はこれだけではありません。密にサポートできるメンターだからこその、大きなメリットが見いだせます。
まず、社内における細かな情報を共有できる点です。会社組織には、その集団ならではの暗黙の了解や、社風ともいうべき空気感といった、活字化できない雰囲気のような、感覚的な調和というものも存在しています。組織で長く過ごすにおいて必要不可欠な感覚ですが、業務のみを教えるOJTでは、このような繊細な存在を伝えることができません。ですが、密にサポートするメンター制度なら、それも可能となります。
またさらに嬉しいのが、メンタリングをおこなう側へのメリットです。メンターとなった人物は、メンティーの手本でなければならないという意識から、それまで以上に姿勢や発言に責任感を覚えます。つまり、既存の人材のレベルを高める上でも、有効に機能するということです。
注意すべきデメリット面
魅力の大きいシステムにみえるメンター制度ですが、注意すべきデメリットというものも存在します。
メンタリングは、メンターとメンティーの両者間のみによっておこないます。これによって、育成に回す人材を削減することもでき、効率化というメリットも生まれるでしょう。ですが、それによって個々の管理がおろそかになり、2者間で馴れ合いの関係が生じる可能性もでてきます。基本はメンターに託しても、管理職などによるある程度の管理も欠かせません。
また、メンター向けの人材と、そうでない人材がいるのも実際のところです。後輩のサポートよりも、自分の仕事に集中した方が力を発揮できる場合も確かにあります。入社した新人・若手の数だけメンターも必要となりますが、向き不向きはしっかり考えた上で振り分けましょう。
メンター制度活用のポイント
上記のような馴れ合いを避けるためには、事前に明確な方針をメンターに伝えておくことが重要です。単に「あの新人の面倒をみて欲しい」などと伝えるのではなく、最低限押さえるポイントや、コツ、問題点などをしっかり打ち合わせて共有しておきましょう。
そして、互いの相性も大切です。業務の場とはいえ人と人の関係であるため、そこには相性が伴います。人間性はもちろん、業務経験やスキル、部署関係なども考慮して選定することが重傷です。トラブルを未然に防ぎ、そしてメンター制度の効果を大いに引き出すことができるでしょう。
意義あるメンター制度導入を実現しよう
確かに、メンター制度は効果的な指導、サポート体制として、広く導入されているシステムです。ですが、準備や注意点も押さえた上で検討しなければ、逆効果になってしまう可能性もあります。メリットデメリット、双方を把握した上で役立てましょう。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。