中途社員への営業研修はどのようなことをすればよいのか

2019年11月27日(水)

中途社員への営業研修はどのようなことをすればよいのか

時代や環境の変化に対応したセールスパーソンの育成が必要

営業はどの業種でも、人材の入れ替わりが激しい職種のひとつとして知られています。センスと能力のある人はどんどん成長し長く活躍する一方で、成績が伸び悩む人はすぐに辞めてしまうことが多いからです。

特に成績によって給与が決まる報酬制の場合、新人時代に基本給が下がってしまったりインセンティブがゼロの場合、成績によっては生活ができなくなります。そのため、転職希望者や仕事が見つからない方が一時しのぎのように入社しては、基本給が切れ、成績が上がらないと退社するサイクルができ、3ヶ月から半年といった短期間で離職するケースは少なくありません。

一方、企業側もそれを問題ともしていない風潮がありました。日本では縁故契約の風習などが根付いており、どんなに能力がない人を採用しても、家族や親族、友人や知り合いからの契約をもらえる場合や、前の職場や以前の取引先から契約が1件くらいはもらえるという考えがあったのです。

そのため、十分な研修もせずに採用して、簡単な商品研修とロールプレイングだけで先輩に同行しセールスに行かせるケースが少なくありませんでした。例え試用期間中の基本給を払ってすぐにやめられても、縁故契約が数件取れれば、企業としては大きな損失はないと考えられていたのです。

しかし、こうした古い風潮が通じる時代は既に過去のものとなっています。現代は消費者の意識も高く、消費者契約法による保護もあるほか、企業においてもコンプライアンス順守や透明性のある契約が求められています。そのため、知り合いだからと契約してくれる場合や、付き合いで商品を購入してくれるケースは少なくなっています。

それに加えて人手不足の今、セールスパーソンの確保自体が難しくなっています。情報が豊富となり、セールス職の大変さや古き悪しき慣習などが知れ渡り、仕事が見つからないからと、腰掛的に営業職に応募してくる人も少なくなっています。次々に採用して潜在能力がある人材や、芽が出る人材が少しでもいれば儲けものといった育成方法は通用しないのです。

セールスのライバル自体も、人によるセールスだけでなく、ネット通販などさまざまな媒体が登場しています。その一方、個人客は留守の人やガードが堅くなる人が増え、法人の事業所はセキュリティも厳しく、簡単にアプローチもできなくなってきました。人材の確保が難しくなり、競争も激しくなり、顧客のガードも堅くなる中、稼げるセールスパーソンを確保するには、丁寧な育成が重要であり、そのための研修が欠かせません。

中途社員へのセールストレーニング

中途社員の場合、セールス未経験の方もいれば、他社や他業種でセールスパーソンとして経験を積んだ人もいます。経験に応じたトレーニング方法もありますが、個別の対応は難しいものです。

自社のセールス方針を徹底し、コンプライアンスを重視したセールスをしていくためにも、経験を問わず、一からトレーニングを行うのがおすすめです。むしろ、未経験の方より、経験がある方の方が前職での悪しき慣習や、コンプライアンスぎりぎりの契約獲得手法などを身に付けてしまっている恐れが少なくありません。悪しき状態をリセットし、本来あるべき営業の基本から習得してもらうことが、企業のためにも、中途社員のためにもなるからです。

売れるためのノウハウとスキルを基本からトレーニング

セールスの基本は見込み客探し、アポイントの獲得、提案、クロージング、そして重要なのは、お客様の心を開かせるテクニックです。いかに商品知識が豊富でも、お客様に話を聞いてもらえないのでは何も始まりません。お客様の正直な気持ちや要望をスムーズに聞き出すスキルはとても重要であり、そのトレーニングとしてはお客様に好印象を与える挨拶から正しい名刺交換、お客様が心地よく感じる誉め方まで多彩なノウハウを身に付ける必要があります。

次にセールスの基本となる、電話でアポイントメントを取るノウハウを習得します。確実に面談の約束を取るために電話のかけ方をマスターし、この人なら会いたいと思わせる話術をマスターさせましょう。

一方、企業などに飛び込みセールスをする場合や、今日こそ経営者などに直接面会したいという場合は受付突破術が必要です。セキュリティが高まり、アポなしお断りの企業が増える中で、受付突破は非常に難しくなっています。一方で、受付や顔出しをした際にいつも対応してくれる担当者を味方につけることができれば、「今、社長がちょうどいるから会っていく?」など思わぬチャンスを与えてもらえます。そして、キーマンとの面談にこぎつけるための受付突破手法を、ロールプレイを通して体得させましょう。

セールスパーソンにとって重要なノウハウとなるのが、セールストークです。相手の興味や関心を掴んで離さない話し方を養成するために、最初から最後まで興味を抱かせて聞かせるセールストークを各自が身に付け、ロールプレイで実践的に試し、修正を重ねていきます。どんなに完璧なトークを展開しても、お客様はすぐには決めてはくれません。ほしいなと思う方でも、一度は断るというのが一般的な反応です。もちろん、本気で要らないという方も少なくありません。こういった場合、簡単に諦めず、断り文句を切り返すのが反対克服話法であり、切り返し・応酬話法とも呼ばれます。

お客様の断り文句を切り返すだけでなく、そこから購買意欲を引き出す、売れるセールスマンなら誰もがマスターしている営業の武器となる話術です。状況に応じて臨機応変に話法を使えるように、ロールプレイで徹底的にトレーニングしていきましょう。

そして、最大の武器となるノウハウが、決め手の打ち方の習得です。お客様が発信した買いシグナルを見抜き、そしてタイミングを逃さず即クロージングに持ち込むスキルを身に付けることが大切です。タイミングを見極め、確実に契約や注文を獲得するための決め手の打ち方をマスターさせましょう。決め手を打っても、お客様の心や企業の方針などが翻る事態は少なくありません。最後まで気を抜かず、契約書や注文書にサインをもらえるまで、クロージングのロールプレイングを徹底して行いましょう。

セールスマインドもあわせて養成

この一連の流れのテクニックを身に付けるとともに、営業マインドも養成しなければなりません。人との対話が勝負なため、機械的や事務的なトークは通用せず、相手の心理を読むマインドなども必要になるからです。そのためには売れるセールスパーソンと売れないセールスパーソンの違いを学ぶこともおすすめです。売れるためには何を意識し、どのような行動を取ればいいのかがわかります。

一方、売れない人は何が足りていないのか、どういうミスをしているのかを知ることも、非効率なアプローチを避けるために大切です。実際の経験則を通じて、売れるための条件やお客様とのかかわり方を学びます。

また、セールスは商品の内容をいかに知ってもらうかが重要と思われがちですが、自己アピールも重要です。磨いてきたセールストークを活かすには、まずはお客様の警戒心を取り除いて、心を開いてもらわなくてはなりません。さらに、第一印象の重要性や名刺交換から相手の誉め方、相手の反応を理解する力が必要です。セールストークにおいても、商品の魅力を十分に理解したうえで、言葉のみを駆使するだけではなく、お客様の心を揺さぶる、思いが伝わるトークを身に付けましょう。



この記事の監修者

株式会社 社員教育研究所 編集部

株式会社社員教育研究所 編集部

1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。

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