育成力とは?若手社員の人材育成で管理職が意識すべきポイント

更新日:2025年9月25日(木)

育成力とは?若手社員の人材育成で管理職が意識すべきポイント

若手社員や新入社員は、適切な育成指導を受けることで成長します。しかし、重要なのは、この“適切”がどのようなものかということ。とりあえずOJTを行い、後は現場に放り投げて自分で学習させる、といった育成方法では、大きな効果は期待できないでしょう。必要な考え方としては、「中堅社員以上のマネージャーが育成力を発揮し、目的意識を持って部下の成長をサポートする」ことです。そこで今回は、管理者が持つべき“育成力”にスポットを当て、その必要性などを解説していきます。合わせて、管理者の育成力を育む研修についてもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

▼この記事でわかること

  • 育成力とは、中長期的な視点を持ちながら、部下の成長をサポートすること
  • 教育方法には、OJTやOff-JT、メンター制度などがあり、目的に応じて選択することが重要
  • 管理職の育成力を高める方法は、中長期的な人材育成計画を立てること
  • 管理者に求められるスキルの強化には、研修プログラムへの参加がおすすめ

育成力の重要性

育成力とは?

端的に言うなら、育成力とは「部下を育て上げる力」です。しかし、単に指導を行うことが育成力とイコールではありません。

ポイントとなるのは、中長期的な視点を持ちながら、部下の成長をサポートすることです。そのために、一人ひとりの部下に対する理解を深めたり、部下の課題に一緒に向き合い継続的にコーチングまたはフォローをしたりといった行動が求められます。最終的に、部下を自社の重要な戦力となる優秀なビジネスパーソンにまで育て上げることで、企業の組織力強化に寄与します。

育成力が重要な理由

上記で簡単に述べたとおり、育成力は組織全体のパフォーマンスにつながります。

たとえば、管理職が短期的な視点で物事を捉え、部下育成を怠っていたとしましょう。この場合、将来的な組織の発展は期待できません。そのタイミングでは優秀なスタッフが揃っており、業務がスムーズに回っていたとしても、教育を受けているスタッフや新入社員が戦力にならない未来が待ち受けているからです。

また、成長機会がない企業では、若手社員の早期離職といった問題にもつながります。このように、社員がしっかりと育つ環境が整っていることは、企業の強みとなり、企業が末永く発展するための大きなファクターなのです。

指導力との違い

育成力に似た言葉として、指導力があります。いずれも部下を教え導くという意味では同じですが、時間軸とアプローチの面で違いがあります。

指導は、仕事で必要な知識や技術を身につけさせるなど、一般的に短期的な視点でのフォローを指すことが多い傾向にあります。一方、育成は長期的な能力開発というアプローチです。いずれも部下を教育する際には必要な能力となるため、それぞれを併用することが望まれます。

【教育方法別】部下の育成で意識すべきポイントとは?

OJTの場合

OJT(On the Job Training)は、現場での実践を通して学びを得る教育方法です。経験豊富な上司や先輩の下、職場で直接指導を受けるのが一般的です。

指導のポイントとして、手取り足取り教えすぎないという点が挙げられます。ある程度まで手順や知識を与えた後は、本人に任せて指導者はそれを見守る、という形が望ましいでしょう。もしもOJT中のすべての業務を上司の言いつけに従って行っていたとしたら、現場で独り立ちしたときに本人が困ります。大切なのは様々な手法を用いて部下の自主性を育み、自ら行動をするよう導くこと。決して「指示待ち人間」にならないよう注意しなくてはなりません。

そのほか、対象者のレベルに適した課題を与えることも重要です。業務を一人で達成することにより、自分の力で問題解決を行える力が育まれます。

Off-JTの場合

Off-JT(Off-the-Job Training)は、現場を離れた状態で学習の機会を与える教育方法です。基本的には座学などを通し、ビジネスに必要となる知識・スキルを学びます。実践的ではありませんが、ビジネスの基礎を体系的に学べるのがメリットです。

また、Off-JTを実施した後はフォローアップ研修を実施するのがおすすめです。研修から一定期間が経過したタイミングで、振り返りや効果測定を行いましょう。たとえば、目標達成の度合をチェックし、対象者の成長を確認する、といった研修内容が挙げられます。これにより、知識の長期的な定着が期待できます。

メンター制度の場合

メンター制度は、所属部署の上司ではなく、年齢や社歴の近しい先輩社員が、新入社員や若手に対してサポートを行う制度です。業務上だけでなく、キャリア形成といった幅広い支援を行うのが特徴で、人材育成はもちろん、社員の定着率改善などにも効果が見込めます。

ただし、メンターを引き受ける社員の経験が浅い場合などは、負担が大きくなったり、質にばらつきが生まれたりする可能性も。そのため、制度実施の前にメンターとなる社員が研修を受ける、事前に新入社員の性格を把握するなど、準備が必要になる場合があります。

eラーニングの場合

パソコンやスマートフォンなどを使い、オンラインで社員に学習を行ってもらう方法です。時間や場所を問わずに学習ができる点や、学習の進捗状況の一元管理といったメリットが挙げられます。

一方で、社員のモチベーションを保つのが難しかったり、実技を習得しにくかったりというデメリットがないわけではありません。そのため、eラーニング単体の導入ではなく、そのほかの教育方法などを組み合わせながら進めていくのが効果的です。

管理職の育成力を高める方法

中長期的な人材育成計画を立てる

若手社員や新入社員を育てていく際には、はじめに人材育成計画を立てることが重要です。これは、部下の現状や過去を踏まえて、目標とする人材へと育成するための計画のこと。計画内には、今後身に付けるべきスキルや、成長のステップなどを具体的に記載していきます。なお、管理者が一方的に計画を考えるのではなく、対象者と面接などの話し合いの場を持ち、目標達成に向けて必要な支援を明らかにしていくとスムーズです。

加えて、マネージャーが継続的なサポートを提供することも非常に大切です。定期的なフィードバックや評価、目標達成が叶わなかった際のアドバイスなど、きめ細やかなサポートが求められます。

育成力向上に特化した研修を受講する

育成が必要なのは若手社員や新入社員だけではありません。管理者本人も、必要なスキルを身に着けるべく教育を受けることが大切です。

管理者に求められるスキルを強化するのであれば、研修プログラムへの参加がおすすめです。リーダーになってから経験が浅く、育成力を基礎から学びたいという方は、ぜひ以下の研修をご活用ください。

管理者養成基礎コース

管理者の任務について意識を高め、組織・部門運営におけるマネージメント力を強化するための研修です。単に知識を学ぶだけでなく、ディベートなどを通した行動的発想、コミュニケーション能力、スピーツ力が徹底的に鍛えられます。期間は13日間の集中合宿。もちろん、部下の育成に関わるスキルについてもしっかりと育み、マネージャーとしてのマインドを醸成します。

管理者養成基礎コースの詳細はこちらから

指導力開発訓練

管理職や中堅社員向けに、部下を育成する「指導力」を飛躍的に向上させる9日間の合宿研修です。

部下のやる気を引き出し、個々の能力を最大限に引き出す実践的なスキルを習得。仕事の与え方、効果的な注意・褒め方、説得方法などをロールプレイングで体得できます。人材育成の基盤を築く第一歩として、導入効果の高い研修です。

指導力開発訓練の詳細はこちらから

ハイブリッド・リーダー研修

カリスマ性とファシリテーション能力を兼ね備えたリーダーを育成する3日間合宿訓練です。即断力、思考力、課題解決能力を徹底的に養います。

リーダーのあるべき姿を認識し、実践を通して自信を築くことで、仕事への主体性、円滑な人間関係構築、部下への成長支援など、多角的なリーダーシップスキルを習得します。

ハイブリッド・リーダー研修の詳細はこちらから

MMS ヒューマンスキルコース

「部下育成指導力」と「CS向上関係力」の2つの重要スキル習得を目指します。

部下への的確な指示出しやモチベーション向上策、顧客満足度向上に繋がる接客知識、クレーム対応などをロールプレイングで実践的に学びます。

MMS ヒューマンスキルコースの詳細はこちらから

リーダーの戦略

育成力は、現場での指導力だけでなく“戦略的視点”も不可欠です。この研修では、組織の中長期的な成長を見据えたうえで、人材をどう配置し、どう育てるかという戦略的思考を体系的に学べます。

特に、育成対象が若手であっても、リーダーがゴールを見据えて行動することで、成長スピードが格段に変わります。現場マネジメントと経営視点をつなぐ力を高めるこの研修は、次世代リーダーの基盤作りに最適です。

リーダーの戦略の詳細はこちらから

「育成力が企業の未来を創る」

部下の成長は一朝一夕にはいきません。さまざまな課題が発生し、その都度解決に向けた取り組みが求められます。上司の育成力が試されるのはこうしたタイミングです。部下とコミュニケーションを取り、バランス感覚を持ってサポートを実施。その上で、誤った方向へ進むようなら自発的な軌道修正を促すなど、非常に高度な指導が求められます。しかし、そうして行った努力が実を結べば、この前まで新人だった社員が、どこでも通じるビジネスパーソンへと育つでしょう。そうして頼もしいメンバーを増やしていくことが、企業の発展にもつながります。

FAQ

育成力とは具体的にどのような能力を指しますか?

育成力とは、単に指導するだけでなく、中長期的な視点で部下の成長をサポートする力です。
部下への理解を深め、課題に継続的に向き合い、コーチングやフォローを通じて企業の重要な戦力に育てる能力を指します。

育成力を高めるために管理職が意識すべきポイントは何ですか?

育成力を高めるには、まず中長期的な人材育成計画を立て、部下の目標達成に向けて継続的にサポートすることです。
また、管理者自身も育成力向上に特化した研修プログラムに参加し、必要なスキルを習得することが重要です。

OJTとOff-JT、メンター制度、eラーニングの特徴と、効果的な活用法は?

OJTは実践を通して学び、自主性を育むのが特徴です。Off-JTは座学で基礎を体系的に学び、フォローアップ研修と併用が効果的です。
メンター制度は年齢の近い先輩がキャリアを含め幅広く支援し、定着率向上に期待できます。eラーニングは時間や場所を選ばず学習でき、他の教育方法と組み合わせることで効果を高められます。



この記事の監修者

株式会社 社員教育研究所 編集部

株式会社社員教育研究所 編集部

1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。

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