報連相の重要性とは?業務に取り入れる目的や得られる効果
2022年11月29日(火)
従業員間の情報共有をスムーズに行うために、社会人として大事な取り組みが「報連相(ほうれんそう)」です。新入社員は業務に役立つビジネススキルを身につけること以上に、報連相をビジネスマナーとして習慣化することが求められます。そのためには、新入社員を教育する側が報連相について正しく理解しておかなければなりません。
この記事では報連相の定義や重要性、軽視されることによる発生するリスクについて解説します。部下に報連相を根付かせる方法についても解説しますので、新入社員の教育や研修を担当されている方はぜひ参考にしてださい。
重要性が軽視されがちな報連相とは
報連相の「報告」
報連相の「報」は「報告」を意味します。ビジネスにおける「報告」とは、業務の進捗や途中経過、結果を上司などに知らせることです。
ビジネスにおける状況は流動的に変化します。常に状況に合わせた迅速で適切な対応を心がけなければなりません。責任逃れや見てみぬふりをしたい心理から報告を怠ることがありますが、後の会社に与える悪影響を考えると悪い状況こそ早いタイミングで報告する必要があります。
報告の遅れはさまざまなリスクを引き起こします。そのため、「報告」「連絡」「相談」の3つのなかでは報告が最も重要といえるでしょう。
報連相の「連絡」
報連相の「連」は「連絡」を示します。報告と混同されがちですが、こちらは業務に関する情報を上司や同僚に知らせることです。事後対応の報告ではない、定期的な連絡も含まれます。
業務においては、正確性を欠いた情報はノイズとなります。そのため、事実を脚色なく伝える必要があります。連絡する際は、私見を交えず事実だけを伝えることが重要です。業務効率を良くするためには、従業員同士がお互いのスケジュールや進捗などを共有しておく必要があります。
報連相の「相談」
報連相の「相」は「相談」、つまり問題が発生したときに、先輩社員や上司などに意見を求めることです。何か問題が発生したときに初めて実施されます。
ビジネスにおける問題は発生してから長い時間が経過するほど対処が難しくなっていきます。そのため、早期に相談することで問題が深刻化することを防ぐ必要があります。
報連相の目的と効果の重要性
報連相の目的
報連相の主たる目的は、組織のなかで情報を共有して連携を図ることです。例として、報告が適切に行われ担当者が業務の進捗状況を把握できていれば、何をすべきか迅速に考えることができます。連絡が滞りなく行われていれば業務に取り掛かる時点で必要な情報が出揃っているため、仕事の生産性を向上させることが可能です。相談をしあえる体制が整っていれば、緊急事態への対処を早められ、問題を適切に解決できます。
従業員が情報を独占し、個別に仕事をしている状況では、円滑な連携は期待できません。こうした状況は生産性の低下を招くだけではなく、予期せず発生した問題を大きくしてしまうことにもつながります。生産性向上、リスク回避のためには職場内の報連相を徹底することが大切です。
報連相の効果
報連相を徹底することで、上司と部下の間で良好な人間関係が築きやすくなります。これは、報連相を通して自然とコミュニケーションが図れるようになるためです。職場内の風通しの良いコミュニケーションを促進することは、従業員の働きやすさや信頼関係の構築につながります。
報告や連絡の内容から部下の状況を把握することも可能です。報告や連絡の内容は、部下をフォローすべきかどうかの判断材料にもなります。トラブルを未然に防ぐためにも、報連相を徹底することは大切です。
また、報連相を通して、部下の適正や得意不得意がわかる点もメリットのひとつ。報連相が適切にできる部下には安心して仕事を任せやすくなるでしょう。報連相の徹底度合いを評価の基準にすることもできます。
報連相をしないと起こることやできない原因
報連相をしないと起こること
報連相が適切に行われていない場合、上司などが部下たちの仕事の状況を正確に把握できません。結果として、業務の進捗状況がわかりづらくなってしまいます。仮に問題が発生したとすると、原因の究明に時間がかかってしまうでしょう。情報の共有遅れによって対応が後手に回ると、問題が深刻化するおそれがあります。
例として、顧客への納品が遅れればクレームに発展してしまうこともあるでしょう。報連相の不備によって起きた問題であれば完全に自社の責任のため、信頼を落とすことは免れません。実際に、社内の報連相が機能していなかったことによって問題が起きた事例は少なくありません。
また、報連相の不足によってコミュニケーションの機会が少なくなるため、組織内の意思疎通が図れません。このことにより、組織内の連携がとれなくなるケースが考えられます。業務の効率が低下する、情報の行き違いにより不備が生じる、といった事態が頻発してしまうでしょう。
報連相ができない原因
報連相ができない原因として考えられる主な理由が、社員が報連相の必要性を的確に理解できていないことです。日常的な業務が忙しくなると、こうした社員が報連相を後回しにするケースが散見されます。報連相の時間がもったいない、通常業務と比較して優先度が低い、時間の無駄、と考えている社員も少なくありません。
報連相を受ける側が話しかけづらい雰囲気を出している可能性もあります。マネージャーなど、報連相を受ける側が忙しそうにしていると、部下は話しかけるタイミングが見つからないと感じるでしょう。「些細なことで時間をとらせては申し訳ない」と報連相をためらうようになっていきます。
報連相を促進するポイント
報連相をしやすい職場環境を整備する
報連相を活性化させるためには、職場内の環境づくりが大切です。具体的には、部下から上司にいつでも話しかけられるような環境を目指す必要があります。組織内の簡単なコミュニケーションの機会を増やすことで、立場を超えて話しやすい関係性が構築されるでしょう。
部下が自分から上司にコミュニケーションをとっていくのは難しいため、上司からきっかけを作っていく必要があります。日常的な業務のなかで、上司から部下へ交流していくことが大切です。懇親会や社内イベントなど直接仕事と関係ない行事で、立場を超えた関係性が構築されるケースもあります。
トラブルを起こした状況やミスをした状況の報告で叱責しないことも注意点のひとつです。トラウマや恐怖心を部下に植え付けてしまうと、次に問題が起きた際に報告をためらってしまうかもしれません。報告の内容に関わらず適切な言葉でアドバイスを行い、相手をフォローしましょう。
報連相の相手とタイミングを明確にする
報連相の相手とタイミングを明確にしておくことも大切です。対象となる窓口とタイミングがはっきり決まっていれば、部下はルールに従う形で遠慮なく報連相ができます。上司と部下の認識を共通させるためにも、効果的な方法です。
同僚、マネージャー、直属の上司など、報告する相手を整理しておくと、効率的に情報の伝達が行われるほか、伝達ミスも防げるでしょう。重要な報告は例外なく上司が受けるようにするのが一般的です。
「こうした場合は、報告をしてください」と業務の指示を出す際に報連相をするタイミングについてもあわせて伝えておきましょう。作業が完了したタイミングやトラブルが発生したタイミングなどで報連相を行うようにルールとして決めておくと、部下が迷うことがありません。
「重要性を周知して報連相を部下に根付かせよう」
チーム内での報連相の重要性について解説しました。報連相は仕事の基本であると同時に、いかなるときも意識して続けなければならない大切な仕組みです。社会経験を積めば自然と報連相ができるようになっていきますが、新入社員の場合はまだ慣れていないことがあります。なぜ報連相が重要なのか、報連相を怠るとどういったリスクがあるのか、といった基本を積極的に周知し、取り組みを浸透させていきましょう。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。