新入社員に与えるべき仕事とは何か

2016年1月28日(木)

2023年12月6日(水)

新入社員・新人に与えるべき仕事内容とは | 新入社員研修

長い学生生活が終わり、新社会人として気持ちも新たに、仕事を頑張り早く一人前になるぞと考えていたのに、いざ入社してみると待っていたのは雑用ばかり。こんなことをするために自分はこの会社に入ったわけじゃない、と感じたことがある人が多いのではないでしょうか。

今回は、学生と社会人との意識・行動の違いを知った上で、新入社員が持つべき心構え、学生から立派な社会人に成長させるために必要な新人教育とは何か、会社が今求めている力とは何か、そして教育係の必要性を述べて行きます。そして最後に、基本的な新入社員教育後に、どのような仕事を新入社員に与えるべきか、その仕事を与えることによって新入社員はどのような力を身に付けられるのか、新入社員教育の重要性や会社に与える影響を解説していきます。

この記事では以下のような内容について論じていきます。

  • 社会人と学生とでは、報酬の有無・評価方法・人間関係・時間など多くの点で異なることを新入社員は理解する必要がある
  • 先輩社員に新入社員の教育係を担当させることは、将来部下を持ったときに役立つ
  • あらゆる仕事には意味があるので、新入社員に任せる仕事を従来の仕事から変える必要はない
  • ただしその仕事で得られるものを理解させること、与える仕事の内容や量を調整することなどは重要

それでは解説していきます。

新入社員が持つべき心構え

まず、質問です。学生と社会人の違いは何でしょうか。簡単なようで、いざ説明するとなると、どう説明したらよいのか、と思われる方も多いと思います。

一番大きな違いは報酬です。学生はお金(授業料)を払って授業を受けていました。社会人は労働の対価としてお金(給与)をもらう立場になります。つまり、会社(社会)に対して貢献する義務が生じてきます。

評価も、学生はテストの点数等であり、それに応じた優・良・可で表され評価の基準がわかりやすいと言えます。それに対し、社会人は仕事の成果で決まり、単純に数値化できるようなものがありません。

また人間関係も、学生は同年代の付き合いが多いし、嫌いな人とは付き合わなくても良いのに対し、社会人はさまざまな年代の人と関わらなければならず、人間関係も好き嫌いで選べません。

時間という切り口で考えても、学生は比較的自由になる時間が多いし、多少時間に対して寛大に扱われていたのに対し、社会人は自由になる時間は少なく、仕事の納期は厳守するのが当たり前となります。

いかがでしょうか。学生と社会人との違いはたくさんあり、そのどれもが大きく異なります。このため、学生気分のまま社会人になると、甘い気持ちのまま大人の社会に飛び込むことになるので、最悪の場合は会社を辞めなくてはならないことになります。学生と社会人の違いをしっかりと認識しておかないと、出発点からつまずいてしまうかもしれません。新入社員として明日から会社(社会)で活躍できるようにする教育、その差を埋める役割をするのが新入社員教育なのです。

新人教育と教育係

新人教育または新入社員研修とは、企業が行う階層別研修のうち新入社員に対して実施される研修のことで、大きくは入社前研修と入社後研修に分かれます。

入社前研修は入社する前の内定者に対して行われるもので、社会人としての基礎知識を通信教育等で実施する例が多いと言えます。内容はその会社の業界によって様々です。

それに対し、入社後研修(一般的にはこちらを新入社員研修とする企業が多い)は、文字通り、入社後すぐに実施されるものです。学生から社会人になることを目的に、会社組織で職務・業務を遂行する上で必要な知識・スキル・ビジネスマナーなどの基本を身につけるために行われます。

研修形式は、集合研修(社内・社外)、実施研修等があります。会社によっては、外部の研修機関に出向き、そこで他の会社の人たちと合同で研修を受けるケースもあります。

期間や内容は企業によって異なります。長いところでは、入社5年以上の社員に「教育係」という仕事を与え、新入社員または入社3年未満の社員に対してOJT(On-The-Job Training)形式で1年間実施するところもあります。

この「教育係」という仕事ですが、会社としてはOJTによって新入社員を教育するという意図だけでなく、同時に入社5年以上の「教育係」の社員にも人を指導するということを学習して欲しいという意図もあります。将来、「教育係」を経験した社員が主任・係長・課長と昇進し部下を持つ立場になった時に、その経験が部下を指導する時に役に立つようにと考えて実施しているのです。こうした経験を「教育係」の時にしておかないと、部下を持った時にどのように部下を指導したらよいのか迷うことが多いのです。

「教育係」を経験すると、担当する新入社員は大きく3つのグループに分かれることがわかります。すなわち、A.やる気十分で教えたことをどんどんこなすタイプ、B.指示待ちタイプ、C.ただ参加しているだけの無気力タイプです。

A.のタイプは全く問題ありません。B.のタイプもどんどん指示を出してやってもらいましょう。A.のタイプに変化するかもしれませんから。

問題はC.のタイプです。C.のタイプをやる気のあるタイプに変えられるのは、やる気のある「教育係」だけです。指導に創意工夫が必要になります。この創意工夫をする課程で、管理職の役割の一つである「部下の教育、指導」の能力が養われるのです。

どのような仕事を新入社員へ与えるべきか

さて、具体的に新入社員にはどのような仕事を与えるべきなのでしょうか。

新入社員はやる気がある状態で入社してきます。通常の仕事の中にも、データの入力・書類のコピー・書類のファイル等、新入社員にとって「雑用」「雑務」と感じる仕事もあります。しかしすべての仕事はそれぞれ意味があり、どんな仕事も決して「雑用」でも「雑務」ではありません。それを決定するのは、その仕事をする人間なのです。

例えばデータの入力の仕事も、実際に個々のデータを入力する課程で仕事のプロセスが見えてきます。メーカーにおける商品・材料の入庫の仕事を例に取ってみましょう。入力の仕事により、同じ商品・材料が毎月10日・20日・30日と3回にわたって納入されていると気づきます。なぜ、3回にわたって納入されているのでしょうか。必ず意味があるはずなのです。

もしその理由が明確なものがなくただ単に分納しているだけで、30日に入荷される材料が月末の在庫金額をただ単に増大させているだけのものだとしたらどうでしょう。月末締めの30日ではなく翌月の1日に納品してもらうことで、その分の在庫金額が削減できるかもしれないのです。

このように全ての仕事には意味があるのです。ですから、新入社員には、仕事全体がわかるような簡単な仕事からやってもらうという、従来から行われている考え方を変える必要は全くないのです。新入社員にどんな仕事をやってもらおうかと悩む必要は全くなく、どのような仕事にも意味があるという信念をもってやってもらいましょう。

仕事を与える際の注意点

ただし、その仕事が持つ意味に気づかせること、わからないようなら意味を伝えること、ほかの業務も同様に学びがあるとわからせることは行っていかなくてはいけません。それがなければ、新入社員はつまらない雑用をやらされるばかりで大切な仕事を教えてくれないと感じるでしょう。

それでは楽しくない気分から抜け出すことなど不可能です。やる気が出ない、頑張れないと感じるばかりか、仕事に行きたくない、仕事を辞めたいと手遅れになってしまう可能性もあります。

また、逆に与える仕事量が多すぎる場合や仕事内容が難しすぎる場合も問題です。しんどい、きつい、ついていけないなどとストレスを感じて、いわゆる「キャパオーバー」の状態になってしまうかもしれません。それもまた退職の原因となりえます。

いずれにせよ、丸投げされた、覚えられないなどと思われないよう、慣れるまでは適切な声掛けやケアが必要です。

まとめ

新入社員に与える仕事については、今までと考えを変える必要はありません。しかしその仕事が持つ意味やそこから得られることを意識させる必要があります。「仕事がもらえない」「簡単すぎて飽きた」、逆に「残して帰るのが怖い」「できなくて辛い」などと過度に負担に思わせないように、進め方・教え方や与える量には注意しましょう。



この記事の監修者

株式会社 社員教育研究所 編集部

株式会社社員教育研究所 編集部

1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。

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