フリーライダーを生まない組織作り・対策について

2016年2月17日(水)

フリーライダーを生まない組織作り・対策について

高い給与をもらっているのに仕事をしない上司、手柄を横取りする上司や同僚など、とかく話題となる、どこの職場にもいる、人の成果に「ただ乗り」するフリーライダー。なぜ職場内にこうしたフリーライダーが生まれてしまうのでしょうか。また、フリーライダーが生まれてしまった場合、会社としてどのような対応が必要なのでしょうか。

フリーライダーとは何か

フリーライダーは本来、「ただ乗り」という意味を持ち、経済学で「公共財」という財やサービスを考える時に、よく扱われるテーマです。公共財の例としては、消防、警察、国防、放送などがあげられます。

例えばNHKのテレビ放送(番組)は、ある人が見たからといって、別の人が見られないことはありません(非競合的)。しかし、対価を払わない人が見ないようにすることは困難です(非排除的)。

つまり、公共財とは、非競合性(ある人の消費によって別の人が消費できる量が減らない)と非排除性(対価を支払わない人が消費することを排除することができない)の性質を持つ財のことを言います。

ここから派生して、高い給与をもらっているのに仕事をしない上司、手柄を横取りする上司や同僚など、人の成果に「ただ乗り」する人たちをフリーライダーと呼びます。

よくあるケースでは、部下が上司からあるテーマでプレゼン資料の作成を頼まれ、時間をかけて仕上げ提出すると、上司はその資料をそのまま使用し、役員クラスにプレゼンし、高評価を受け、それを自分の成果のように話をしてしまうというのがあります。部下としては、せめて感謝の言葉くらいはかけて欲しいところでしょう。

また、以下のような部下の苦情もよく耳にします。
「うちの上司は、朝出社するとパソコンの前に座ってネット三昧。たまに忙しそうにパソコンの前でキーを叩いているのを見ると、ただ単に、自分の趣味の英書をひたすらタイプし英語の勉強。あたかも忙しそうにメールを書いているように見えるが、実際は英語の勉強三昧。上(経営トップ)から何か依頼があると、『君、やっといて』と言われ、時間をかけて仕上げると、それをあたかも自分でやったように上(経営トップ)にプレゼンするんですよ。やってられませんよ。」

どうして組織内にフリーライダーが生まれるのか

上に挙げたケースは、現在日本の職場で実際に起こっていて、フリーライダーと呼ばれる人々の増殖が今問題になっています。

このような現象は、急に出てきたわけではありません。昔から、「給料泥棒」という言葉があるように、そうした社員はいましたし、ある程度の規模の会社組織になるとこうした社員が必ずいたのです。しかし、昔の会社はそれを受け入れ、それなりに機能していた面もあります。

高度成長がそうした人たちをもカバーしてきたのです。終身雇用が一般的だった昭和の時代は、そうした会社の「困った人々」を時間とコストをかけて教育し、人材として活躍できる場と機会を作ることができたのです。

また、組織構造がピラミッド型で管理職(高齢者)が少なく、毎年新入社員が入って来て、このピラミッド構造が長期にわたり維持できていたのです。そのため、バブル崩壊以前の日本では、職場のフリーライダー問題は深刻化せず、特に対処する必要もなかったと言えます。

しかし、現在は市場が激変し、状況が変わってしまっています。

高齢管理職者が多くなり、新入社員が毎年入る機会も少なくなり、こうしたピラミッド構造が崩れ始めてきました。その対策として、55歳役職定年制度というものが導入されたり、最悪の場合はリストラ(希望退職制度の履行)を実施したりして対応しています。しかし、それでもこのフリーライダー問題は依然として残っています。こうしたフリーライダーが組織に及ぼす悪影響を何とかしないと、組織の活性化に支障をきたすことになります。

フリーライダーが生まれてしまった時の対処方法

まず、組織の「見える化」です。組織が、そこに所属する社員が何をしているのかわからない、見えないというのを見えるようにする必要があります。

例えば営業であれば、「営業日報の作成とその活用」で、各営業部員が、今、どこの顧客を訪問し、どのような商談を行っていて、その成果が評価される仕組み作りが良い例です。

また、フリーライドすれば、後でツケが回ってくる組織風土を作ることも大切です。人事評価制度の中に「360度評価」を導入することも一つの対応策と言えます。

このように、良い意味でお互いを監視し、協力できる長期的な人間関係がフリーライダーを防ぐ機能になるのではないでしょうか。



この記事の監修者

株式会社 社員教育研究所 編集部

株式会社社員教育研究所 編集部

1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。

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