プロセスマネジメントってなに?
カテゴリ:マネジメント
>2016年12月22日(木)
経営に関する手法は近年注目を浴びるようになってきており、プロセスマネジメントの重要性が唱えられるようになりました。
成功を収めている大企業も行っているプロセスマネジメントとは、一体どのような経営手法なのでしょうか。また、同じことを中小企業で実践することは可能なのでしょうか。
結果のみを追い求める経営には限界がある
利益がどれだけ出ているか、損失がどれだけ出ているか、成長している企業なのか否かを数値の上で判断するのは重要です。しかし、それが現場の感覚とは異なることもしばしばあります。
もう少し細分化して考えてみれば、結果のみに執着した考え方や経営方針では成長が見込めないことが分かります。仕事の過程「プロセス」が結果を生み出す原動力になっているからです。
プロセスマネジメントとはすなわち、結果ではなくサービスを提供するまでに至る過程を重要視した経営方針のことです。
帳簿上の利益だけを見るのであれば、売上を伸ばして費用や損失を減らせば良いわけですが、それだけでは企業の根幹でもある人材が育成されません。ひいてはその企業が提供しているサービスがより良いものへと成長せず、本質的な意味での企業の成長は見込めないのです。
高品質のサービスを要求するようになった市場を楽しませ、結果を生み出すためには仕事の過程が重要であり、最終的に利益として還元されることになる。これがプロセスマネジメント本来の考え方となります。
過程を重要視するプロセスマネジメント
少々抽象的な表現が続いたので、次にプロセスマネジメントの具体的な解説をしていきます。分かりやすい例としてよく使用される、美味しいパンを作る工場を見ていきましょう。
まず、美味しいパンを焼くために、工場では次のような工程によって生産ラインが組まれています。
- 材料を配合する
- 生産する量に応じて生地をこねていく
- できた生地を発酵させていく
- 発酵した生地を焼く
- 完成、出品
重要なのは、目標を「パンの生産と供給」という数値で表された結果に設定するのではなく、「いかにして美味しいパンを生産するか」というプロセス上に設定することです。従来通り結果のみを追い求めるのであれば、単に生産ラインを増設したり工場を更にもう1つ運営したりと生産した分を全て販売すれば良いわけですが、そもそも美味しいパンでなければ売れない可能性が高く、経営的なノウハウについても育まれないという欠点を持っています。
プロセスマネジメントでは視点を変えて、売ることではなく美味しいパンを生産することを目標としているため、美味しくないパンを作らないような経営努力や研究が行われることになります。美味しいパンさえ出来れば勝手に売れる、結果は後から付いてくるだけでなく、美味しさを追求することによって他企業にはできないオリジナリティが生まれ、自然にブランディングも進められていくため、プロセスマネジメントは優秀な経営方針とされているのです。
PDCAサイクルで仕事の質を管理する
PDCAサイクルとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)を繰り返すことでサービスの質を向上させるというもので、プロセスマネジメントの基本となります。サービスの品質は問題を改善しながら少しずつ良くなっていくものであり、高品質のサービスを提供するためには常に適正な評価と改善が求められることになります。
コンピュータソフトが少しずつバージョンアップされていくのと同じように、作業をする上で障害となっていたものを取りはらったり、機能を更に拡張させることによって、より良いサービスを提供することが可能となります。
PDCAサイクルを上手に活用して常に問題点を洗い出し、これを毎度改善していくことで業績も自然に良くなり、企業も成長していくことになります。
PDCAの各ステップで部下と面接を
部下の業務プロセスを管理する際は、このPDCAのサイクルごとに面接の機会を設けます。それぞれの目標設定、達成状況の確認、結果の確認と評価、フィードバックと改善点の話し合いを行いましょう。その際、もし部下の方向性が間違っているのであれば、適宜指導が必要です。
面接は部下の意見を聞く場です。自分がアドバイスをするというよりも、きちんと要望や意見を聞き取る必要があります。1人あたり、60分程度の時間は確保しておきましょう。また、リラックスできるよう、場所は2人きりで話せるスペースを選ぶと良いです。
プロセスマネジメントは現行サービスの問題点を洗い出し、問題を解決していくというプロセスを大切にするため、人材の育成にも活用できます。目標を明確に決め、どのようなアプローチによって目標を達成していくかを上司が管理し、管理職は業績と一緒に部下にも目を配っていく必要があります。また目標の達成率を割り出して、達成できなさそうであれば、どういった障害が起こっているのかを一緒に考えてあげるのも上司の役割と言えるでしょう。