中堅社員の役割と必要なスキルとは?企業の中核人材へ育てるポイント
2017年11月11日(土)
2020年5月11日(月)
将来企業を支える立場となる中堅社員には、管理職を目指した教育を行う必要があります。では、中堅社員とはどのような立場を指し、どういった育成を行うのが望ましいのでしょうか?中堅社員とは何か、またその育成方法について配慮したいポイントなどを解説します。
中堅社員は管理職と新人の間の役割
中堅社員はいつからいつまで?
一般的に、中堅社員と呼ばれるのは入社6~10年後の社員です。場合によっては、入社後3年程度の業務経験があり、かつ役職に就く前の社員を中堅社員と呼ぶこともあります。明確な定義はないものの、基本的には組織において新人と管理職の間にあたる立ち位置を指します。企業の中核となり、将来的に大きな活躍が期待される存在といえるでしょう。
中堅社員が果たすべき役割
中堅社員は、主に管理職を補佐する役割を担います。上司と部下の間に立ち、現場で新入社員や若手を指導するポジションにあるためです。管理職を補佐するためには、企業および所属部署の目標や方針を、正しく理解している必要があります。また、自身の実力や経験を生かして創意工夫し、担当業務を完遂できる力も不可欠です。ほかにも、所属部署での専門知識や技術を十分に習得し、企業の重要な戦力として貢献が求められています。
中堅社員が身に付けるべきスキル
リーダーシップ
中堅社員は、新入社員や若手を統率するリーダーシップを身に付ける必要があります。そのためには社員が主体的に行動し、自分の考えや行動を周囲へ積極的に示すことが大切です。後輩にあたる社員をはじめとして、身の回りの人間を巻き込める影響力があると良いでしょう。常に当事者意識を持ち、問題解決の陣頭指揮を執るリーダーになれると理想です。
コミュニケーション能力
ビジネスパーソンは、会社での経験年数を重ねるとより高度なスキルを求められます。コミュニケーション能力は、中堅社員の課題となる難易度の高いビジネススキルを習得するうえでも、基礎として必須のスキルです。メンバーの間に立つ中堅の立場として、相手の目線に立ったコミュニケーションが、チームビルディングの成果をあげることにつながります。
後輩を育成・指導するスキル
現場で業務経験を積んだ中堅社員は、次のステップとして後輩の育成・指導の役割が与えられます。企業の将来を担う新入社員や若手の育成は、組織の今後を左右する重要な職務です。多くの企業で導入されるOJTでは、単に現場で実務を教えるスキルに加えて、後輩を心理的にサポートするスキルを含め、広い意味での育成力や指導力が問われます。
マネジメントスキル
中堅社員は、目の前にある具体的な仕事に取り組むだけでなく、チーム全体のマネジメントを意識した働き方ができると理想です。組織の課題を見つけ出し、解決へ導くスキルが求められます。日々の業務から課題を創出するためには、常に広い視野でものごとを見る力が欠かせません。また、仕事のアサインや進捗管理など、組織を動かす経験も必要です。
現代の中堅社員とは?
現在中堅社員と呼ばれる人たちは、大学卒業後に入社した30代くらいの世代で、当時は就職氷河期と言われた頃でした。そのため絶対数は他の世代よりも少なく、しかし就職戦線を勝ち抜いた、一般的には優秀であり学習意欲も高い人たちという傾向があります。
しかし彼らは管理職候補として育成される立場にありながらそれを望まず、同時に部下を育てる意欲も少ない傾向が多くなっているのです。自分が責任をとることや世間から注目され目立つことを避け、より安定して無理なく働くことを強く願う人が多いという状況になっています。とはいっても、中堅社員は優秀でありながら少数なため、早期に育成をしなければ将来のマネジメントに影響が出てくる可能性があります。
中堅社員を育成するポイント
自分の立場を自覚させる
中堅社員が基礎をきちんと習得しているかどうか、育成時に改めて本人に確認させましょう。自己流のやりかたにこだわると、基本を忘れるおそれがあるため、知識や技術は定期的な見直しが必要です。同時に、一定の実務経験を経た中堅社員であることの自覚を促すと良いでしょう。管理職へと育成するうえで、能力に偏りがない状態へ導く必要があります。
モチベーションを高める
中堅社員の時期は、仕事に大きな変化が起こりにくくなります。新たな仕事や役割を任せて、モチベーションの向上につなげるような支援があると良いでしょう。たとえば、あえて初めて経験する業務にチャレンジさせ、仕事を完遂させることで成功体験を積ませるのはその一例です。中堅社員から管理職へとステップアップが期待できるようになります。
キャリアの展望を示す
新人や若手社員の頃は目の前にある仕事をきちんとこなしていくことが成長の第一歩でしたが、中堅社員になるとその先まで見据えた行動が必要です。そのためには中堅社員自身がこれから先どのようにキャリアを積んでいくのかを知っておくことも育成のポイントになります。
実は世の中の多くの中堅社員が自分のキャリア展望についてよく理解しておらず、社内の資格や階級などの制度については認識していても、そこへたどり着く方法を知らないことが多いのです。中堅社員は企業の主力となる存在で、上司と部下の間に立って調整・育成する立場でありながら、個人の業績も高く維持することが求められていると自覚させることも、キャリアを積むための方法です。
キャリアにつながるチャンスを提案する
中堅社員がリーダーや上司となっていくためには、その道筋を知っていることに加えてキャリアにつながるチャンスがあることもポイントです。そのためにはステップアップのためのステージを上司が用意し提案することも、中堅社員のやる気ときっかけ作りに役立ちます。
その際上司はひとりひとりの状況や技能を把握し、それぞれに応じた仕事内容・担当する後輩などの要素をより効果的に振り分けることが必要です。また中堅社員には仕事内容の再確認に加え、自分の殻を破るためにも後輩育成の指導を任せ、上司がそれをうまくフォローしていくことも大切です。
中堅社員向け研修の例
中堅社員の意識改革を図る「管理者養成基礎コース」
目的
「管理者養成基礎コース」では、組織の管理者に相応しい思考や行動の基準を身に付けることを目的としています。中堅社員のマネジメントスキルの習得に適したコースです。研修中は自身が持つ意見や課題を自覚させ、思考を深めるとともに改善を図ります。また、コミュニケーション能力やスピーチ力など、難易度の高いビジネススキルの習得を目指します。
内容
研修項目の「40の質問」では、短期間で自身の考えを掘り下げ、相手に正しく伝わるように表現する訓練を行います。「行動力基本動作」は、行動力のあるビジネスパーソンが身に付けるべき10箇条を習慣化し、体得させる項目です。ビジネスシーンの基礎である報告・連絡・相談の重要性を改めて学び、行動力を強化します。ほかにも、団結力を高める行進、表現力や発声力を伸ばす歌唱や素読など、多彩な訓練が組み込まれたコースです。
研修スケジュール

中堅社員の指導力を高める「指導力開発訓練」
目的
「指導力開発訓練」では、中堅社員に管理者としてのリーダーシップを発揮させることを目的としています。部下を統率するリーダーの立場として必要なコミュニケーションを、ロールプレイで具体的に訓練して身に付けさせます。部下への適切な指示出しだけでなく、部下への注意や説得といった難しい局面も含めて経験させ、指導力の強化を図ります。
内容
研修では、まず「指導力10則」としてリーダーシップの原理と心構えを説き、中堅社員に管理者としてあるべき指針を理解させます。「正しい仕事の与え方」「注意する」「褒める」といったロールプレイの項目では、部下を適切に指導するための表現や技術を学びます。さらにコースの終盤では、部下の不満や反発を想定した難易度の高いロールプレイを実施。組織の管理者に求められるハイレベルなコミュニケーションスキルの習得が期待できます。
研修スケジュール

「中堅社員の立場を理解し育成につなげよう」
企業の中堅社員をいかに成長させるかが将来の管理職となる人材の確保につながるため、上司は中堅社員が成長できるための知識や環境を提供する必要があります。具体的な内容をまとめると次のようになります。
- 管理職と新人の間の立場にある中堅社員
- 現代の中堅社員は優秀なものの無理のない仕事を望む
- 育成のためには自分の立場を知り、殻を破らせる
- 社内の資格や階級をアップするにはどうすればいいかを認識させる
- キャリアにつながる仕事を上司が提案する
このようなポイントを知り、上司は中堅社員に配慮しつつ働きかけることで育成に繋げることができるでしょう。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。