中堅社員のモチベーション低下を防ぐ方法
2017年11月24日(金)
入社後ある程度実務がこなせるようになり、後輩にも指導ができる立場になると、中堅社員という立場になります。しかし、こうして企業の即戦力となってきた頃、中堅社員のモチベーション低下が起こることは、実は少なくありません。ではなぜこういった現象が起きてしまうのか、そしてその防ぎ方について詳しく説明します。
中堅社員という微妙な立ち位置
会社のトップやそれに近い管理職でもなく、かといって入社後間もなく仕事を覚えるのが精いっぱいな新人や若手社員という立場でもないのが中堅社員です。このポジションは実務の経験年数も増え、現場での仕事もスムーズに捌けるようになりますが、そこからさらに上を目指すには、どうして良いかわからない中堅社員も少なくありません。
中堅社員はまだ次期管理職候補には経験が足らず、しかし仕事はこなせるという立場にあるため、大きな責任を持つわけでもなく日々の仕事が単調になりがちで、仕事での目標を見失いやすくなる頃でもあります。
自分の立場の把握をさせる
何のために仕事をしているのかわからないと感じている中堅社員は多いことから、まず自分の立場を把握させることから始めましょう。今まで行ってきた仕事の内容や、やり方の再確認をし、さらに上を目指すための基礎ができているか、上司はしっかりとチェックすることです。
やる気が下がっているとはいえ、上司が目を離してしまうと、中堅社員はどう確認していけばよいかわからないこともあります。モチベーションの低下を防げない場合は、積極的に上司が関わってさらに上の立場を目指させるためのチェックをしていきましょう。
管理職主導で成長できる課題を与える
ある程度仕事ができるようになった中堅社員は、さらに新たな仕事を探そうとしてもよく分からない場合があります。そのためにモチベーションが下がることも少なくないので、管理職から中堅社員へ向けて成長に役立つような課題を出してみましょう。
例えば、上の役職に就くことを仮定し、後輩社員の指導に当たらせることもひとつの方法です。後輩へ指導をすることで、今まで行ってきた業務内容が正しいかどうかを振り返ることもできます。後輩社員が少しずつでも成長すれば、担当した中堅社員の指導が良いことを評価するポイントにもなり、モチベーションアップにつながるはずです。また初めて後輩社員を任せる時はさりげなく上司もサポートを心がけましょう。
キャリアサポートの研修
中堅社員本人が自分の将来を考えるきっかけづくりのために、キャリアサポートを目的とした研修を会社側で用意することがあります。例えば、人のためになる仕事がしたいと思っているようなら、今の仕事も十分役立っているとか、プライベートでもいろんな経験がしたいようであれば、休みの有効利用を考えたり、仕事の取り組み方を今一度考えるといった問題意識を持つように促す内容の研修を行いましょう。
日頃から問題意識を持ちたいと少しでも思っている中堅社員であれば、こうした研修は気持ちに響きやすく改めて考えるきっかけになるでしょう。しかし、こういったリスクについての意識を持っていなければ研修が意味をなさない場合もあります。
いつもとは違う環境の提案
これまでの職場から大きく環境を変えることも、中堅社員のモチベーションに変化を与える方法のひとつです。企業が大きく部門の種類が豊富であれば、思い切って他部門へ異動させてみましょう。もしそれが難しい場合には、他者が関わってくるような新しいプロジェクトに参加させる方法もあります。社内の狭い範囲で業務をこなしている社員であれば、全社一丸で動く業務に携わる機会を与えたり、社内ばかりでの業務なら外勤もある業務を任せるなど、視点の転換をはかってみましょう。
考えが煮詰まった時に休憩で外を散歩したり飲み物を飲んだりするように、長く同じ仕事を続けてきてある程度できるようになると「このままで良いのか?」という気持ちが浮かびがちです。そのような時に環境が大きく変化すると、気持ちも切り替えられることでしょう。
中堅社員のモチベーションアップは上司のためにもなる
入社から数年以上経た中堅社員のモチベーションダウンは、多くの企業で起こっていることです。しかしこの状態を放置せず、以下のことをポイントに取り組んでいくことで、いずれ上司である自分にとっても良い結果になって返ってくることでしょう。
- 上司が中堅社員のモチベーション低下を理解する
- 中堅社員の立場を理解させる
- 成長につながる課題を管理職側から与える
- キャリアサポート研修を受けさせる
- 部署替えなどを行って気分を切り替えさせる
また中堅社員ひとりひとりによってどの方法が効果的かも違ってきます。全ての中堅社員がモチベーションアップするには、上司がその人に合った方法を選んで行わせることがポイントです。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。