人事がヒューマンスキルを評価する理由
カテゴリ:人材育成
>2018年2月16日(金)
ビジネスにおいて仕事をこなし業績を上げることは重要な課題のひとつですが、人材を採用する企業の人事からすれば、仕事のスキルだけが非常に高かったとしても、同じ水準の技術があるならばヒューマンスキルの高い方の人材を採用することが少なくありません。
このようにヒューマンスキルが採用の可否に大きく影響するのはなぜでしょうか。ここではその理由を解説します。
ヒューマンスキルはマネジメントに必要なスキルのひとつ
ヒューマンスキルとは「対人関係能力」とも呼ばれ、アメリカの経営学者ロバート・カッツ氏が提唱したマネジメントに必要な3つのスキル「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」のうちのひとつで、人間関係を管理するスキルのことです。
マネジャーとしてのレベルがだんだん上がってくるにつれて、マネジメントというと経営者など企業のトップに欠かせないスキルのように感じるかもしれませんが、実際にマネジメントを行うかどうかに限らず、ヒューマンスキルは身につけておきたいものです。
ちなみに、「テクニカルスキル」は業務を遂行するために必要な専門的な知識と技能、「コンセプチュアルスキル」とは、組織や事業を総合的に見てその本質を理解し今後の戦略などを考える能力のことを指します。
業務を遂行するには多くの人が関わる
ヒューマンスキルは人間関係を良好に保つために不可欠な能力で、上司・部下・同僚、お客様、取引先など人と人の関わりが多くなるビジネスの現場において、スムーズに業務を進めるためにも不可欠と言えます。
自分の立場や企業の取り扱う商品やサービス内容によって違いは出てきますが、企業の一員として働いている限り、誰かと関わる機会が全くないということはありません。そのことからみても、対人関係においてスムーズに対応できるスキルがあれば、その分指示の本質を見出しやすく、人に何かを依頼する時でも、気持ちよく引き受けてもらいやすくなるものです。
昇進していくとよりヒューマンスキルが必要になる
企業に何年も務めていると、実務経験が重なるにつれて役職が上がり、部下を持つ機会が出てきます。すると、自分が上司からの指示によって仕事をこなすだけではなく、逆に部下に指示を出し、仕事がスムーズに進んでいるかを把握することも仕事のひとつになってきます。
部下に対して指示を出す機会が増えるほど、上司から受けた指示を部下へ分かりやすく伝え、適切な業務を遂行させることが重要になるため、ここでヒューマンスキルが重要なポイントになるのです。どの部下にどんな仕事を与えるかを考える際は、日頃から部下とコミュケーションをとり、一人ひとりの適性を把握しておくためにもヒューマンスキルが必要と言えます。
また、部下の仕事状況は逐一チェックするよりも、ある程度信頼して任せた方が部下も仕事を進めやすくなるものです。どの程度まで任せていつチェックをすれば良いかという判断をする時にも、部下との程良い距離感が把握できているとスムーズに行えます。
実務経験不足もヒューマンスキルでカバーできる
たとえ実務経験が足りなくても、ヒューマンスキルがあれば、実務経験の豊富な同僚たちと闘えるチャンスがあると言えます。なぜならビジネスマンに求められているスキルとは、自分の業務をきちんとこなせる技術だけではないためです。実務経験が多くてもヒューマンスキルが不足していれば、昇進が難しい可能性も出てきます。
実務経験は仕事を続けて獲得できるものですが、ヒューマンスキルは入社して間もない新人でも、習得しようと意識すれば次第に身につけられるものです。将来の昇進などで他の社員と比較された時に、選んでもらえる有力なスキルになることでしょう。
お客様への提案がより多くできる
お客様と直に接することがある企業においては、社員とお客様の対話が売上につながる可能性を持っています。
そのためお客様からの相談や問い合わせに対する対応が十分にできることはもちろんですが、トラブルや改善点の希望に気づいて聞き出し、それに対する提案がいち早くできることもポイントです。するとお客様にとってその社員は信頼できる存在になり、新たなビジネスチャンスにつながることも考えられます。
ヒューマンスキルも実務技能と合わせてのばそう
ヒューマンスキルは実務の技能と同様に身に着けていた方が良いものであるため、人事がヒューマンスキルを評価対象に入れる理由をまとめると次のようになります。
- マネジメントに欠かせないスキルのひとつ
- 仕事に関わる多くの人とのコミュニケーションがスムーズになる
- 上司・部下とのやりとりに欠かせない
- 実務経験がやや少なくてもカバーできる
- お客様へより多くの提案ができる
実務経験年数は時間をかけなければ積むことができませんが、ヒューマンスキルは入社した時から習得できるよう心がけることで、実務年数の不足をカバーすることもできます。管理職から新入社員まで、ヒューマンスキルの習得を目指しましょう。