フォロワーシップとは?期待できる効果と実行するときのポイント

カテゴリ:一般社員研修コミュニケーション研修

2019年5月31日(金)

※追記 2021年11月15日(月)

フォロワーシップとは?期待できる効果と実行するときのポイント

チームは、基本的に管理職(リーダー)と部下(フォロワー)によって構成されているでしょう。部下がどう活躍するかによって成果が変わるため、管理職には大きな責任が伴います。しかしそれだけでは、管理職へかかる負担が大きくなり、非効率な現象も起こりかねません。そこで近年注目されているのが、フォロワーシップです。どのようなシステムで、どういった効果があるのかなど、詳しく解説いたします。

フォロワーシップとは?

●フォロワーシップの意味

フォロワーシップとは、チームメンバーがリーダーをサポートすることで、チームワーク向上を目指す組織づくりの考え方です。英語では英語で「followership」と表記します。具体的には、「リーダーへの自律的支援」や「組織への主体的貢献」などの意味があります。従来のリーダーシップでは、チームリーダーがメンバーの先頭に立ち、影響力や求心力を発揮する役割が求められていました。いわゆる孤立型リーダー像であり、ピラミッド型の組織です。それに対してフォロワーシップでは、メンバーの立場であっても主体性を持ち、積極的に動くことが必要とされている組織のことです。

近年の日本企業では、組織における管理職の負担がより一層大きくなってきています。その理由は、リーダーのプレイングマネジャー化が進んできているためです。たとえば、上司が部下を管理する立場にありつつ、現場の業務に並行して取り組む事例がよく挙げられます。この具体例のように、多くの企業組織で役職者のマネジメント意識がおろそかになっている現状があります。だからこそ、メンバーがリーダーの役割を補完し、チーム全体で組織の舵取りの機能を担うフォロワーシップが理想的とされているのです。

フォロワーシップを実行する手法は、主に2種類に分けられます。「上司を知るフォロワーシップ」と「上司をサポートするフォロワーシップ」です。職場でそれぞれのタイプのフォロワーシップを育成し、ビジネスパーソンや組織の成長を促しましょう。

●フォロワーシップの重要性

フォロワーシップの重要性について理解するうえで、チームでの役割と互いに与える影響の関係を知っておく必要があるでしょう。組織の生み出す結果に対して、リーダーが与える影響は1~2割、フォロワーである部下が与える影響は8~9割といわれています。この数値は、フォロワーシップの提唱者であるカーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の調査によるものです。つまり、カリスマリーダーの活躍だけで組織目標の達成は難しいといえます。業務の推進を開始するのはリーダーですが、フォロワーには業務を完遂させる役割があります。目標達成のために、部下それぞれのフォロワーシップを発揮させると効果的です。

フォロワーシップを必要とする管理職の特徴

部下の立場からすると、マネジメントの役割を担う管理職は、楽をしているように見えるかもしれません。「自分も早く昇進して上司のように楽に高い給料をもらいたい」そんな気持ちをモチベーションにしているリーダー候補も中にはいることでしょう。しかし、本当に楽をしている管理職はそういないはずです。複数の部下をまとめ、数字や課題に追われ、さらに現場の業務まで兼任していると聞くだけで、かなりの負担だと分かるでしょう。

こうした理由から、管理職は常に模範的かつ完璧なリーダーでいることが難しい立場であるといえます。目に見える仕事の結果だけでなく、自身の発言内容や判断、会社での姿勢やふるまい方……あらゆる場面で重圧に耐える必要があり、ときに失敗やミスをしてしまうこともあるでしょう。これでは、理想の状態を維持するのが難しくなってきます。

そこで効果を現すのが、フォロワーシップです。部下による上司の補佐、貢献力を強化し、チームの人間が協働することでパフォーマンスを最大化します。管理職が部下をサポートするのは自然な関係性ですが、その逆を実践すればさらにより良い環境を目指せます。

フォロワーシップに期待できる効果

●部下の自発的な行動を促進できる

部下が上司を支援するうえで、上司の性格や考え方、タイプを正確に理解しなければ、適切なフォローはできないでしょう。そのため、フォロワーシップでは上司が部下に支援を求めるだけでなく、部下がリーダーの考えを組織的に共有し、自発的に理解する必要があります。上司の性格や価値観、目標やビジョン、目指したいチームの方向性、企業戦略、業界における自社の立ち位置など、幅広い視点でのコミュニケーションを深める機会が不可欠です。

また、現在進行形でリーダーの意見を知るだけでなく、リーダーが未来に何を欲しているかをメンバーが知ることも大切です。上司との信頼関係が築かれれば、部下は指示待ちをせず、能動的に行動を起こすようになるでしょう。そんなフォロワーシップを実現できれば、部下の成長の相乗効果として、管理職である上司の負担が大きく軽減されます。

●部下が上司をサポートできる

フォロワーシップにおけるサポートとは、単なる部下による上司の補助ではありません。そこには、部下が自ら動き上司の欠点を補う意味合いも込められています。フォロワーシップが実現されれば、周囲のメンバーがリーダーをサポートできる組織づくりが可能です。

どんなにキャリアを積んでいても、常に完璧に評価される上司などいないでしょう。特に、多忙で現場の業務に集中しなければならない状態ともなれば、なおさら指導力とのバランスが難しくなります。その際は、上司の欠点も含めてチームで共有し、円滑にサポートを受けられる関係を築けると理想です。こうした上司から部下への信頼も重要といえます。

●チーム全体へのメリットがある

フォロワーシップが浸透すると、チーム内の目標や目的が共有され、チームメンバー内に一体感が芽生えます。いわゆるメンバーシップ精神です。そのため、支援を受けるリーダーだけでなく、支援するフォロワーもメリットを実感できるのです。若手のうちから上司へ向けて提言や健全な批判を行う経験を積めば、人材育成につながります。また、やる気や責任感が芽生え、自律性も高まるでしょう。さらには、メンバー同士が協働する風土が醸成されていきます。上司と部下の関係が変化することで、チーム全体へのメリットが期待できるのも、フォロワーシップの大きな特徴です。

上司をサポートするフォロワーシップ

サポートとは、単純に補助するといった役割ではありません。フォロワーシップにおけるサポートは、上司の欠点を補う意味合いも込められています。

どんなにキャリアを積んでいても、常に完璧な上司などいないでしょう。特に、忙しくてひとつのことに集中しなければならない状態ともなれば、なおさらです。そのため、自分のタイプ、欠点についても事前に話しておきましょう。自分の欠点を部下に話すのは、かなり抵抗もあるかもしれませんが、フォロワーシップの効果にきっと繋がるはずです。

フォロワーシップを実行するときのポイント

●常に目的に立ち返る

フォロワーは、担当するタスクが本来の目的に合致しているか常に意識します。人間関係の不和や職位の高い人からの指摘を理由に、本来の目的からそれていないか見極める批判力が必要です。こまめに軌道修正を行い、上司と部下が定期的に意思疎通を図りましょう。

●積極的にアイデアを提案する

フォロワーは自主的に新たなアイデアを発見し、積極的にリーダーへ提案します。ただし、提案するアイデアには十分な説得力があり、ビジネスシーンで通用する内容でなくてはなりません。部下は理論立てて考える経験を積み、アイデア創出の能力が培われます。

●全体最適を重視する

フォロワーシップに取り組む集団では、部分最適よりも全体最適を重視します。チームの一部の機能を優先する方針から、チーム全体の機能を最適化する方向性を目指しましょう。そのためには、一人ひとりのメンバーがチーム全体の課題に働きかけることが重要です。

●組織のマイナス面ばかり指摘しない

フォロワーシップにはメンバーの批判力が不可欠ですが、組織のマイナス面の情報ばかりに着目するのは、本来目指すべき姿とは違います。批判力と併せて、チームのために自分の役割や組織の現状を受け入れる貢献力、建設的な意見を持つメンバーが求められます。

●プラスアルファの行動を意識する

リーダーからの指示通りに行動して結果を出すだけでは、フォロワーシップはまだ不十分といえます。メンバーが個人的な工夫をして、プラスアルファの行動をするのがフォロワーシップを成功させるカギです。期待に応えるだけでなく、期待以上を目指しましょう。

●納得感を持って行動する

フォロワーシップにおいて、メンバーの納得感は非常に重要な要素といえます。上司の意思決定を部下が本心から支持できれば、メンバーは様々な仕事に対してすぐさま順応することができ、さらにチームには誠実な信頼関係が生まれるでしょう。メンバーの一体感を支えるために、まず個人の納得感を大切にするのがポイントです。

フォロワーシップでレベルを底上げしよう

フォロワーシップとは、部下が上司を支援する、いわばリーダーシップの逆のような考え方です。これによりマネジメントを行う上司の負担を減らし、全体最適による業務の効率化が図れます。チームに一体感が生まれ、協働する組織へと改善されるのは、フォロワー側にとってもメリットとなります。チーム全体の底上げにも有効といえるでしょう。また、フォロワーシップ向上のためには、社内、社外を問わず、社員研修を取り入れてみてはいかがでしょうか。



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