新入社員に教えたいビジネスマナー 人事が新卒・新人教育で意識すべき事
2020年1月31日(金)
人手不足の時代、採用した新入社員の離職を防ぎ、大切に育成していきたいものです。一方で、取引先や顧客との関係では誰もが会社を代表する顔となり、新人だからと甘く見てはもらえません。自社を代表して活動していく社員として恥ずかしくないよう、ビジネスパーソンとしての礼儀やマナーを身に付けさせることが大切です。
人事・総務の担当者として新入社員教育の重責を担われる方へ、新入社員にビジネスマナーを教育するときのポイントをご紹介いたします。
新入社員に教えたいビジネスマナーの基本
新入社員研修やマナー講座では単に行動の仕方や礼儀を教えるだけでなく、ビジネスパーソンとしての心構えもあわせて教えていくことが大切です。社会人としての意識の持ち方を講師はしっかりと指導しましょう。
責任感
学生時代の責任感とは異なり、仕事をすることで報酬を得る立場として、社会人としての責任感を認識させましょう。計画的に業務を遂行し、仕事を期日内に完了することの重要性やあらかじめリスクを予測し、リスク回避を行うことの重要性も教えます。
行動
挨拶
社会人の基本として、明るい表情と大きな声で自ら挨拶する姿勢を習得させます。ただ挨拶をさせるのではなく、挨拶で得られる効果を理解させることで自然と取り組めるようになります。出社時や退社時、オフィス内でのすれ違いの際、訪問先でなどシーン別に説明するとよいでしょう。ビジネスの相手によい第一印象を与えるとともに、業務では接点が少ないオフィス内の人に自分の存在をアピールし、いざというときに協力やサポートをしてもらえる環境づくりに役立つという点を理解させるとより身に付きます。
身だしなみ
社会人として求められる清潔感ある身だしなみとおしゃれの違いを指導しましょう。ビジネス相手に好印象を与える、清潔感のある服装の大切さを理解させます。男性と女性それぞれで違いますので、男女別で指導しましょう。
時間厳守
社会人としての鉄則として出社時から会議の始まり時間、取引先とのアポイントなどを含めて、時間厳守・遅刻厳禁を徹底させましょう。時間が守られないと、自分や周囲にどのような影響があるかを理解させ、スケジュールの自己管理ができるよう指導することも大切です。
言葉遣い
学生時代の言葉遣いや流行り言葉などを使わないよう、徹底的な指導が必要です。目上の人や取引先、顧客へ訪問の際に失礼のないよう尊敬語・謙譲語の確認をはじめ、同僚との間でもニックネームは使わず名前は名字で呼びあうことやため口などを使わずキレイな丁寧語を使うこと、対面の会話にとどまらずメールの文面においてネット用語などを使わないよう徹底させます。
電話応対
今の若い世代は固定電話の利用経験が少なく知らない人からの電話に抵抗を持つ人も多いため、電話を取ることへの恐怖をまず払拭することが大切です。電話口で自社の人間を呼ぶ際の呼称や電話での会話の基本を指導します。電話を受けたとき、上司や同僚に繋ぐとき、自分からかけるときの基本的なマニュアルを、ロールプレイを通じて習得させましょう。また担当者が席を外している際の伝言には相手先の会社名や相手の担当部署、名前などをメモする習慣を付けさせるのが良いです。
名刺交換
名刺交換の基本と挨拶の流れを、ロールプレイを通じて習得させます。名刺を受け取ったあとミーティングなどを行う際の名刺の扱い方や置き方も大切な指導ポイントです。さらに名刺を受け取ったあとにどのように管理し、必要なときに活用する方法を指導します。また、ビジネスシーンにふさわしい名刺入れについても解説しましょう。
守秘義務
公私混同は厳禁であり、労働時間中に業務と無関係なことは当然ながら行ってはいけないことを徹底させましょう。特に業務中の私用のスマホ利用や職場のパソコンで私用のネット閲覧、私用電話や私用コピーなどをしないよう、会社ごとのルールを指導します。守秘義務の重要性を理解させ、業務上知り得た内容を社外や社内でも関係ない人には話さない、漏らしてはいけないことを徹底させます。
新入社員にビジネスマナーを指導するときのポイント
新入社員に指導する際、単にパターンを教えても思うように身に付きません。マナーを徹底することのメリットや目的を同時に理解させることで、習得がスムーズになります。
メリットと背景を理解させる
ビジネスマナーの指導にあたっては、実施すべき理由を伝えることで習得がスムーズになります。ビジネスマナーがなぜ重要なのか、実践することで得られる効果を理解させましょう。たとえば、挨拶によってコミュニケーションのきっかけが生まれること、提出期日を守ることで信頼の獲得につながるといった日常業務ですぐに役立つ効果を伝えるのがおすすめです。
新入社員の価値観を否定しない
ビジネスマナー研修を実施するうえで大切なのは、新入社員ができなかった場合や誤った発言などをしても一方的に否定しないことです。モチベーションが低下することや自信をなくして待遇が悪いと研修中に離職するなどのリスクもあります。一方で、学生扱いをすることも避けましょう。新入社員が見下されていると感じて、心を閉ざしてしまうおそれがあるからです。
実践を通じて体得させる
言葉やテキスト資料のみでの説明だけでなく、ロールプレイなど実践的なワークを採り入れていきましょう。たとえば、名刺交換の手本を見せたら、すぐに各自を組にして実行させます。頭では理解できても、行動に移せない場合があるため、指示するだけでなく、できるようになるまで見守りながら、本人が体得するまで行わせることが大切です。クイズや問題を出題し、時に楽しい雰囲気ですすめるのもおすすめです。ミニテストを取り入れることも、マナーの習得の確認と定着につながります。
ビジネスマナーの習得に効果的な新入社員向け研修
人材不足の時代、人事・総務担当者が研修を行うとその他の業務に支障が出ることも少なくありません。研修会社によるカリキュラムなどアウトソーシングを活用することがおすすめです。実際にどのような研修が行われているか紹介していきます。
フレッシュマン颯爽研修(8 日間)
目的
- ビジネスパーソンとしての基本的な能力の強化
- 礼儀の体得
- コミュニケーション能力の向上
話す・書く・行動するが的確に実践できることを目指します。
自ら臆することなく挨拶を行い、シチュエーションに応じた適切で美しいマナーを体得させます。
集団生活を通じて人間関係を構築するノウハウを吸収します。相手の意図を的確に掴んで、円滑なコミュニケーションを行う能力が磨けます。上司への報告・連絡・相談の重要性を理解することにもつながります。
コースの概要
社会人としての基礎を習得するとともに、学生時代の行動パターンを修正し、社会人としての意識改革を目指す研修です。基本的な挨拶から仕事の受け方や報連相などを、一人ひとりがマスターできるまで徹底して実践するコースです。研修を通じて集団行動で、ビジネスに必須のコミュニケーション力の向上も図れます。
GO!フレッシュマン現代の行動学(3 日間)
目的
- 新入社員とはどういう存在であるかを理解
- 挨拶、言葉遣い、態度、服装、席順のマナーを習得
- 命令の目的や上司について理解する
- 要領のいい人が本当に得なのかを知る
新入社員は仕事ができないゼロからのスタートだと認識させます。叱られることは人格否定ではなく成長を思ってのものであること、上司からの指導を受け入れられる気持ちの切りかえや姿勢を習得させます。
仕事ができればマナーなんてという新人は入社半年で脱落する様な人材となってしまうかもしれません。ビジネスにおける礼儀の重要性をを認識させます。
部下指導の意味が正しく伝わらずパワハラと誤認識される前に、上司から指導を受けることや会社で命令を受けることの意味を理解させます。
サボる、手を抜く、やった振りなど学生時代のアルバイト感覚では通用しないことを理解させます。一方で、努力は必ず評価されることを学びます。
コースの概要
わずか3日の研修で新入社員の心構えが変わります。社会人としての心得はもとより、ビジネスパーソンとしてのプロ意識を持ち、しっかりと仕事の進めていけるよう指導します。新入社員の挨拶が変わり、能動的に行動できるビジネスパーソンへとたった3日で進化します。
双方が望まぬ退職者を生まないために
業種を問わず人手不足が続く時代にあって、採用した新入社員は会社にとっての宝です。だからといって、甘やかして育てるのではなく、社会人としての意識をしっかりと持たせて、将来はばたく社員を育てていくことが会社にとっても、本人の職業人生にとっても重要な意義を持ちます。
ビジネスマナーの基本が身に付いていなければ、どこに行っても通用しません。その重要性を理解させたうえで、自然とマナーが実践できるようになるまで丁寧に指導をしていくことが大切です。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。