説得力がある人が持つスキルは?相手を納得させられる人材になる方法
更新日:2021年8月21日(木)
部下に指導をしても言葉が響かなかったり、顧客へセールスをしてもなかなか購入を決断してもらえなかったりと、「説得力」不足を実感することがないでしょうか。そんなときは、説得力のある人がどのようなスキルやテクニックを備えているのか、改めて見直してみましょう。
ここでは、ビジネスシーンで重要な説得力について解説します。概観すると次のようなことが言えます。
- 説得力のある人は、論理的に考えつつ相手の立場を理解し説得するコミュニケーション力がある
- 説得力あるよう話す場合は、自信をもってゆっくりと話すのがよい
- 相手の立場を想像して相手の感情に訴えたり、数字を使うことでも説得力は高まる
- 説得力のある人になるためには、論理的思考力を鍛えて相手を理解するような経験を重ねることが大切となる
説得力を身に付けたいときや、さらに強化したいとき、ぜひ参考にご一読ください。
説得力がある人が持つスキル
説得力があると言われる人が共通して持っているスキルについてまとめます。以下のスキルが挙げられます。
- 論理的思考力
- 多角的な視点
- コミュニケーション能力
順に見ていきましょう。
論理的思考力
物事を整理し、論理的に筋道立てて考える力のことを「論理的思考力」あるいは英語で「ロジカルシンキング」と呼びます。論理的思考力は、ビジネスシーンでも重視される能力の一つです。
説得力がある人は、普段から論理的に考える習慣が身についている傾向にあります。論理的な話は、自分の主張に対する根拠が明確で、矛盾がありません。その反対に、結論ありきで矛盾を含む主張は、考えに一貫性がなく、説得力に欠けてしまいます。
論理的に考えるための思考法はいくつかありますが、その1つが「帰納法」です。情報を収集して現状を把握し、情報を整理・分析して蓋然性・妥当性の高い結論を導く方法です。現状分析から結論を出す方法だと言い換えられます。
これに対して、初めに仮説を立ててその仮説が正しいか検証する思考法は「演繹法」と言います。演繹法も論理的思考法の1つです。
上司として部下の指導やチームメンバーを率いる役割がある、人を動かす立場にあるビジネスパーソンには、論理的思考力が不可欠です。
多角的な視点
説得力があることは、単に自分の意見を押し通すこととは異なります。本当の意味で相手を説得するには、相手の置かれた立場を想像するための、多角的な視点も求められるのです。
たとえ論理的に正しい意見であったとしても、相手の性格や心理・知識の量などへの目線が抜けている説明では、説得は難しいでしょう。これでは、自分の意見を押しつけた主張となってしまいます。特定の偏った事実だけを根拠として扱うと、相手に納得してもらえません。物事を多角的な視点から評価し、多くの方にとって納得しやすい説明を意識しましょう。
コミュニケーション能力
ビジネスシーンの商談やプレゼンテーションでは、伝え方も大切です。同じことを伝える場合も、言い方一つで相手に与える印象が変わります。また、主張の内容が正しかったとしても、伝え方に問題があれば、正しく伝わりにくくなります。相手に応じて言い回しを変えて適切な言葉を選び、わかりやすく伝える表現力を身につけると、より説得力のある主張が可能です。
会話ではジェスチャーや顔の表情といった、言葉以外の表現も活用しましょう。こうした非言語コミュニケーションも、説得力に影響を与えます。あるいは服装など見た目も印象を左右します。清潔感のある服を身に着けるようにしましょう。
説得力がある人の話し方
説得力がある話し方をするために気をつけるべき点について解説します。以下の点が挙げられます。
- 自信をもって話す
- ゆっくり落ち着いて話す
- 相手の立場を想像しながら話す
- 数字を使って話す
抑揚のある話し方を心掛けたり特別な話術を身につけたりしなくても、まず上記の点を話し方のコツとして意識するだけで簡単に説得力のある話し方ができるようになります。順に見ていきましょう。
自信を持って話す
説明を聞いている人は、話す人の言葉以外の部分も見ている傾向にあります。たとえば、表情・姿勢・声の大きさなどです。こうした理由から、相手を説得するには、話し方にも注意を払うのがポイントです。説明の内容が良くても、自信がなさそうな話し方からは、説得力が生まれづらくなります。自信のある態度を取るだけでも、聞き手に安心感を与え、説得力がある印象を与えやすい点を押さえておきましょう。
ゆっくり落ち着いて話す
話者の話すスピードも、説得力の有無のイメージに関係するといわれています。説得力があると印象づけたいときは、ゆっくり落ち着いて話すよう心がけましょう。スピードを落としてゆっくり話すと、相手に内容が伝わりやすくなります。話の内容を頭で反芻(はんすう)することで、理解しやすいためです。
さらには、落ち着いて話している人は、堂々として自信を持って話している印象を与えやすいといわれます。そういった意味でも早口は禁物です。話す速度まで意識してみてください。
相手の立場を想像しながら話す
相手を説得するには、相手の気持ちに寄り添うことも大切です。相手の感情に呼びかけると、納得してもらえる可能性が高まります。なお、相手の感情を動かすには、“共感できるストーリー”や“琴線に触れるエピソード”などを話の中に盛り込むテクニックが活用できます。具体的な話し方の技術は、研修などのトレーニングで強化しても良いでしょう。まずは、聞き手に関心を持ち、想像する習慣をつけることから始めてはいかがでしょうか。
数字を使って話す
説得力がある人は、数字を使って話すのを得意としています。一般的に、説明の中に数字が入ると、説得力が増しやすいといわれます。
その理由は、具体性や客観性のある印象を与えられるためです。さらに、数値がエビデンスの働きをして説得力が増すという効果もあります。数値を使う際、数字の比較や増減などを提示すると、話の内容が印象に残りやすくなります。グラフや表などの形式にして提示すると、さらに効果的です。ただし、相手の興味を引く目的で大げさな数字を使うのは避けておきましょう。却って信頼性を損ね、説得力が下がる原因となってしまいます。
また数字を活用することは、口頭での説得力だけでなく企画書・プレゼン資料などの中の文章やスライドの説得力を高めるのにも役立ちます。
説得力がある人になる方法
説得力がある人になるための方法をまとめます。以下の点を意識するようにしましょう。
- 論理的思考力を鍛える
- 相手のことを深く理解する
- 実績や経験を重ねる
1つずつ見ていきます。
論理的思考力を鍛える
説得力がある人を目指すなら、論理的思考力を鍛えるトレーニングを取り入れるのがおすすめです。日常生活で論理的思考力を鍛える方法は、複数あります。まず、普段から物事の「なぜ」「どうして」を考える癖をつけることです。一つの話題に対して「なぜ」を繰り返し、深堀りしていく思考法もあります。何かを話すとき、主張と根拠をセットで提示する習慣をつけるのも有効です。
論理的思考力についてさらに詳しく学びたい方は、自己啓発でビジネスパーソン向けの研修プログラムを受講する選択肢もあります。専門の研修では、スキルを体系的に身に付け、ビジネスシーンで活用できるのが魅力です。ぜひご検討ください。
相手のことを深く理解する
説得力がある人は、相手のことを深く理解しようとする姿勢に長けています。相手に対する理解が心を掴み、感情を動かすのです。「自分がもし相手の立場だったら」と想像することは、相手の要望や考えを理解することにつながっています。営業パーソンの商談や交渉といった場面でも、想像力が大きな成果をもたらすでしょう。自分の直属の部下や、商品を提案中の顧客など、最初は仕事で身近にいる方への理解を深めてみてください。
実績や経験を重ねる
目の前で話す人の実績や経験が豊富な場合、主張に説得力が増しやすいといえます。実績や経験があることは、何よりも信頼の証になります。本人の自信にもかかわる部分です。仕事で結果を出すことによって、社内での影響力も高まってきます。自分に説得力が足りないと感じたら、日々の業務を通して地道に実績や経験を重ねるのも大事な要素です。積極的な行動や勉強を心がけて、自己研鑽を続けましょう。
説得力のある話し方を強化!最適な研修プログラム
研修名 | 対象者 | 特徴/効果 |
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管理者養成基礎コース |
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組織を動かすリーダーに不可欠な“伝える力”を、ロールプレイや訓練を通して体得します。 明確に、的確に、そして納得させる言い方とは何か、説得力の本質に踏み込む、管理者の基礎力を築くプログラムです。 |
フレッシュマン颯爽研修 |
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「話す・聞く・書く」を包括的に強化し、明瞭な表現力とコミュニケーションの土台を習得。 報連相や対人関係構築のスキルを学び、相手に信頼される基盤を作ります。 |
オンライン若手社員研修 |
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発言力や説得力あるスピーチに加え、倫理的思考や「受け止める力」を養う内容。 双方向で実践的な演習を通じて、自信を持って主張できる力を育みます。 |
ビジネス特別実践研修 |
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「話す・聞く・書く・行動する・考える」をセットに体験型で学ぶ研修。 実際に行動に移し、習慣化まで促進。論理・表現・行動の一体強化で説得力を後押しします。 |
行動力パワーアップ |
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ディベート形式を通じて多角的視点による論理構築を習得し、表現力と説得力を向上。 自ら主体的に動く「行動力」も強化し、思考と行動に裏付けられた説得力を体得します。 |
指導力開発訓練 |
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部下を褒める・叱る・指示する・説得する技術をロールプレイ演習で実践的に習得。 部下への説得力ある指導スキルを段階的に習熟し、部下の納得と行動変容を引き出すリーダーシップを鍛えます。 |
MMS ヒューマンスキルコース |
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部下育成と顧客満足に欠かせないヒューマンスキルを、表情・話し方・傾聴など実践形式で磨きます。 説得力ある指導や説得を実現するための表現技術を高めることで、説得力あるリーダー像を体現できるよう導きます。 |
上級訓練 |
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論理的な問題解決力・発信力を磨き上げ、相手を納得させる“説得の構造”を実感として身につけます。 管理職や経営者として、重みのある言葉と行動力を発揮したい方に最適です。 |
判断、決断 そして問題解決学 |
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問題の発見・分析から解決・判断に至るまでの8段階を通じ、説得の根拠となる論理的思考と行動を習得。 意見を押し通すのではなく、論拠をもって納得を得る“説明力としての説得力”を高めるプログラムです。 |
セールスパワーアップ |
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営業の各フェーズで必要な「傾聴」「質問」「提案」「クロージング」技術を体系的に習得。 ロールプレイ中心の構成で、話し方や表情、タイミングといった「伝え方の説得力」まで徹底的に鍛え上げる内容です。 |
「説得力を高めてマネジメントスキルに磨きをかけましょう」
ここまで、ビジネスパーソンに求められる説得力についてお伝えしました。説得力は、今回ご紹介した論理的思考力・多角的な視点・コミュニケーション能力をはじめ、複数のスキルに支えられています。ほかにも、自信のある話し方や落ち着いた話し方など、話者のテクニックも重要です。特に組織のリーダーである管理職にとって、説得力は不可欠な要素といえます。お伝えしたヒントを参考に、マネジメントスキルに磨きをかけましょう。
社員教育研究所には、説得力を支える各種スキルを強化する、管理職や営業マン向けの研修プログラムが充実しています。いずれのコースも、人材育成を専門とするプロの講師が指導にあたり、多くのマネージャークラスの修了生を輩出してきました。階層の高い社員向けの、高度な研修プログラムが用意されているのは、長年の実績を持つ人材育成専門サービスならではの魅力です。自己啓発はぜひ社員教育研究所にご相談ください。
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説得力を高めるにはどんなスキルが必要ですか?
主に論理的思考力、物事を多様な角度から見る多角的な視点、そして円滑な意思疎通を図るコミュニケーション能力の3つです。
相手を説得する際に、どのような話し方を心がけるべきですか?
相手を説得する際は、自信を持ってゆっくり落ち着いて話すことが大切です。
また、相手の立場を想像しながら話すこと、そして数字を使って具体的に話すことで、話の信頼性と客観性が増し、説得力が高まります。
説得力を向上させるためには、どのような方法がありますか?
説得力を向上させるには、日頃から物事の「なぜ」を考えるなどして論理的思考力を鍛えることが重要です。また、相手の要望や考えを深く理解しようと努めること、そして実績や経験を重ねることで、より説得力のある人材になることができます。
説得力を高められる実践的な研修の導入も効果的です。
この記事の監修者

株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。