ファシリテーションスキルとは?特徴やビジネスの場での重要性
2022年3月2日(水)
会議の進行役といった意味を持つファシリテーター。しかし近年のビジネスシーンでは、この役割に求められるスキルが重要視されるようになっており、管理職やリーダーには、ファシリテーションスキルの習得が必須ともされてきています。そこでこちらでは、ファシリテーションスキルの概要や素養、スキルを用いた会議の流れなどについて解説を行います。また、研修やセミナーなどを通じて効果的なファシリテーションスキルを身につける方法についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
ファシリテーションスキルの基礎知識
ファシリテーションスキルとは?
会議のスムーズな進行を促す技法のことを、ファシリテーションスキルと呼びます。議論を活性化させ、最終的に参加メンバーからの合意や、それぞれの納得感を得ることが重要なポイントです。なお、ファシリテーションスキルを駆使し、会議を進行する役割のことを「ファシリテーター」と呼びます。
ファシリテーションスキルが誕生した背景
ファシリテーションのルーツは、1960年頃のアメリカで実践されていたエンカウンターグループとされています。これは「出会いのグループ」を意味し、人間関係能力の向上や心理的成長を追求するという内容でした。このなかで、より生産性の高い会議実現のために、エンカウンターグループを軸とした話し合いの技法が考案されるようになります。これが、ファシリテーションスキルの基盤となったのです。
なお、日本のビジネスにファシリテーションスキルが採用され始めたのは1990年後半頃のこと。当初は人材育成の教育の場などの領域で活用されていました。現在では、ファシリテーターの重要性が広まったこともあり、さまざまなビジネスシーンでスキルが活用されています。
ファシリテーションスキルが高い社員の特徴
高い目的意識を持っている
ファシリテーターになれる人物は、目的意識を持って業務に取り組む姿勢を持っています。そもそも、ファシリテーションの目的は会議の生産性向上。そのため、単にスムーズな進行をするだけでなく、会議を通じてどのような成果が得られたのかや、参加者にとって何がメリットであるかまで考えられる人がファシリテーターに向いています。
前向きでオープンマインドである
タイプによっても異なりますが、ムードメーカーの雰囲気を持つファシリテーターの場合、会議の雰囲気を明るく和やかにしてくれます。これは一見すると会議に無関係のようですが、実は雰囲気づくりもファシリテーションスキルのひとつ。たとえば威圧感を持つ人や不機嫌になりやすい人が進行を務めていると、他の参加者も萎縮してしまうでしょう。結果、意見が集まりにくくなります。一方、誰もが発言しやすい空気が作られれば、活発な意見交換が期待できるようになります。
常に客観的な目線を持てる
ファシリテーターは会議中、中立的な立場でいる必要があり、それが役割でもあります。その理由は、多様な意見や質問の出やすい場づくりをするためです。そのため、ファシリテーターには、客観的に物事を見て判断できる能力が必須とされています。他人の意見に流されやすい、また対立構造を作りやすいタイプの場合は、ファシリテーターには向かないでしょう。
ファシリテーションスキルを用いた会議の流れ
STEP1:会議の下準備
まずはファシリテーターが会議の場をデザイン、マネジメントすることが重要です。単なる話し合いにならないよう、適切な議題の設定や、その元となるような資料・情報の選定を行いましょう。合わせて、会議中に必要となるワークフローやツールなどの準備や、座席やテーブルのレイアウトに至るまで、綿密な計画を立てることが求められます。こうした細かな備えと気遣いが、参加者の本音を引き出し、コミュニケーションを活性化する鍵になります。
加えて、参加者の情報を整理することも大切です。参加者の役職や関係性、個々の意見の方向性など。多様なメンバーがいればその分だけ、進行の方法や準備しておくものにも工夫が必要になります。ファシリテーションを行うのであれば、これらの情報をできる限り事前に把握しておくようにしましょう。
なお、参加者選びの裁量を与えられているのであれば、「そもそも誰を招集すべきか?」という前提からデザインしてみることも重要です。関係がありそうな人をやみくもにアサインしたとしても、有益な議論にはつながりません。例えば、議題に対して深い知見がある人は適任です。また、肯定派の人数が多いようなら、バランスを考えて否定派のメンバーも集めておきましょう。その他、合意形成や意思決定が求められるフェーズでの会議なのであれば、決裁権を持つ人物を呼べると話がよりスムーズに進みます。
STEP2:会議の段取りとゴールの共有
会議をより有意義なものにするためには、事前の共有がポイントになります。伝えるべきは、議題および話し合いのゴール、目標設定です。とくに、明確かつ具体的なゴールは会議の目的にも直結する重要な要素。成果が何であるかを決め、それを獲得できれば、会議終了後に参加者が達成感を得られるでしょう。
ただし、ゴールに向かうためにはいくつかのマイルストーンも設置すべきです。そこで整えておきたいのが会議の段取りや流れ。ポイントは、議題を小分けにして、ひとつずつ着実に結論を出していくことです。小さな結論が集まり、最終的には本題を解決できるような流れを意識しましょう。ちなみに、話し合いが必要な議題が多い場合は、当日に結論を出さないといけないものを優先するのが大切です。
なお、会議の議題やゴールなどの情報は、アジェンダで示すのが一般的です。話し合うべきことが明文化されていれば、参加者全員が同じ方向を向いた議論を行いやすくなります。また、話がそれてしまった場合でも、元の道に戻しやすくなるでしょう。
STEP3:意見を出しやすい雰囲気づくり
会議がスタート後のファシリテーターには、参加者による活発な意見交換を促す役目があります。そのためには、意見や質問をしやすい雰囲気作りにも注力しなくてはなりません。たとえば、ファシリテーターがメンバーの声や意見を拾い、次の発言へとつないでいくような流れが一般的です。また、参加者が少ないようであれば、単に意見を吸い上げるのではなく、発表された意見の深堀し、場を回せるよう努めてください。
なお、雰囲気作りにも関わることとして、「会議のルール決め」も活発な議論を促進する効果があります。たとえば、「他人の意見は前向きに捉える」といったものです。ここで注意しておきたいのが、ルールをネガティブリスト化しない、ということ。「○○してはいけない」といった決まりは、積極的な意見を萎縮させる可能性があります。そのため、会議のルールを設けるのであれば、「すべきこと」の表現を意識しましょう。
ちなみに、可能であれば会議当日の前に、参加者から意見・アイデアをヒアリングしておくのもおすすめです。吸い上げた声は当日、匿名性を持ってファシリテーターから発信されるので、参加者の本音を聞き出しやすくなるでしょう。また、意見待ちの時間を省けるので、より効率的に会議の時間を活用できます。
こうした動きが行えるのは、ファシリテーターが中立の立場である故です。他方、ファシリテーターが誰かの肩を持って会議を進めるようなことがあると、議論が一方通行になりかねません。あくまで中立の立場を貫き、参加者全員の声に耳を傾け、議論を深められるよう努めましょう。
STEP4:時間管理と情報整理
ファシリテーターには、会議のタイムキーパーとしての役割もあります。会議中の時間配分を意識し、どこまで意見交換を行うのかや、結論を出すべきタイミングを見計らいます。時間は有限。そのなかで、いかにリソースを有効活用できるかも、ファシリテーターの腕の見せどころと言えるでしょう。また、どうしても意見がまとまらない場合に備え、あらかじめ制限時間を設ける方法もあります。意見が集まりにくくなるというデメリットもあるので、参加者が発言しやすいようファシリテーターが導くようにしましょう。
また、会議中には論点がズレたり、情報が錯綜することも少なくありません。こうした事態を防ぐためには、ファシリテーターが定義現段階の状況をまとめ、参加者から引き出した意見やアイデアを整理する必要があります。
STEP5:参加者のコンセンサス獲得
会議で参加者全員から合意を得ることをコンセンサスと呼びます。時と場合にもよりますが、コンセンサス獲得は会議の最終目的になることも多く、むしろ獲得に失敗すると「単に話し合って終わり」という結果になるため非常に重要です。
コンセンサス獲得に向けては、状況に応じた柔軟なファシリテーションスキルが求められます。会議の序盤〜中盤の段階から参加者の動向・所作を観察しつつ、終盤に近づいてきたらしっかりと意見を整理し、合意に向けたレールを敷かなくてはなりません。最終的に、具体的なネクストアクションの決定までを含めたコンセンサス獲得を目指しましょう。
ファシリテーションスキルの必要性と身につける方法
ファシリテーションスキルが注目される理由
近年、高まり続けているファシリテーションスキルの重要性。その理由のひとつには、「これまでと異なる会議の進め方が増えている」ことが挙げられます。
新型コロナウイルス感染症拡大により、テレワークを導入する企業が増加しました。その中で生まれたWeb会議は、今後も多くの企業にとってスタンダードなものになると考えられています。しかし、Web上での会議は、どうしても司会進行の難易度が上がります。小さな仕草や表情がわかりにくい、同時に発言してしまうと聞こえないなどの課題などがあり、対面であれば何となく推し量れた雰囲気なども、掴みにくいというのが現状です。
一方で、会議の重要性自体は変わらない、もしくは、高まっているような状況とも言えます。その意味で、新たな生活様式の会議であっても、滞りなく進行を行えるファシリテーションスキルが求められているのです。ちなみに、近年ではWeb会議のファシリテーションに特化した進行役を「オンラインファシリテーター」と呼ぶこともあります。
ファシリテーションスキルを身につける方法
需要の高まるファシリテーションスキルですが、習得するためにはやはり実践あるのみ。ケーススタディを経て、段階的に身につけていくのが一般的です。もちろん、基本的な知識などは一人でも勉強できますが、会議というのは多くの人と関わり合うもの。そのなかで様々な事例を経験することで学ぶほうが大きな意味を持ちます。その意味で、ファシリテーションスキルの習得は独学では難しいとされているのが実情です。
そこでおすすめしたいのが、ファシリテーションスキルを学ぶのにフォーカスした研修やセミナーへの参加です。当社では、学習内容をカスタマイズできる研修・セミナーをご用意しております。ファシリテーションスキル向上を目的とした内容についてもご相談可能です。自社の会議の進行役を育てたいとお考えの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
カスタマイズオンライン研修の詳細「現代ビジネスに必須のファシリテーションスキル」
オンラインミーティングはもちろん、対面の会議であっても、優秀なファシリテーターがいることは大きな効率化につながります。成果のない会議は大きなムダであり、低減しなくてはなりません。ファシリテーションスキルを社員に身につけさせることは、ロジカルシンキング能力の向上、チームのコミュニケーションの円滑化、さらには企業、組織の機能を強化することにつながると考えましょう。
この記事の監修者
株式会社社員教育研究所 編集部
1967年に設立した老舗の社員研修会社。自社で研修施設も保有し、新入社員から経営者まで50年以上教育を行ってきた実績がある。30万以上の修了生を輩出している管理者養成基礎コースは2021年3月に1000期を迎え、今もなお愛され続けている。この他にも様々なお客様からのご要望にお応えできるよう、オンライン研修やカスタマイズ研修、英会話、子供の教育など様々な形で研修を展開している。