OJTだけではない、Off-JTとは
カテゴリ:マネジメント
2019年5月24日(金)
ビジネス教育において広く知られるものに、OJTがあります。横文字の近代的なシステムではありますが、すでに広がりをみせています。OJTは、頻繁にもちいられるビジネス用語のひとつとなりましたが、Off-JTとは、いったいどのようなものなのでしょうか。詳しくご紹介します。
OJTとOff-JT
OJTとOff-JTは、対極の関係性にあるといえるでしょう。意味としては、OJTが「On the job training」であり、Off-JTはその逆です。つまり日本語に訳すと、社内研修と社外研修になるのです。内と外の両面で学びを得ることで、社員育成の効率化を促します。
OJTにおいては、現場での実務を通して学んでいきます。現場感覚を直接身につけられるので、実用性の高い知識が習得できるでしょう。しかし一方で、実務に支障が出る可能性がある、OJT担当の人材を確保しなければならないなど、デメリットも生じます。また社内という狭い範囲での業務指導となるので、得た知識が汎用性に欠けるというのも実際のところです。だからこそ、社外研修であるOff-JTが効果を発揮するのです。
なぜOff-JTが必要なの?
これには、やはり前項で触れているOJTのデメリットをカバーする意味合いがあります。OJTは、業務中の研修になるため勤務時間内で行わなければならず、さらに研修可能なタイミングのみに限られてしまいます。つまり、十分な指導ができないのです。メインの業務とOJTが同時進行となるわけですから、双方が疎かになってしまうということも考えられるでしょう。
また、OJTは常にできるわけではありません。多くの企業では、繁忙期と閑散期が存在していることでしょう。そして繁忙期ともなれば、まさに猫の手も借りたいといっても過言でないほど多忙になり、OJTに人材を割くなど容易でないでしょう。しかしOff-JTであれば、一部の新人を社外に出向させることで、外部機関などに研修を任せられる点が効率的です。会社事情に拘わらず研修に注力できる、そんな特長を活かすべく、Off-JTが役立てられているのです。
Off-JTのメリット
とにかく、落ち着いた環境でじっくり学べるという点が最大のメリットでしょう。OJTは、業務と併行した慌ただしい環境の中で知識を吸収しなければならず、学びに集中することができません。新人ともなれば、メイン業務にも不安が伴ってくるわけで、一層負担を感じることになるでしょう。
その点Off-JTなら、会社や業務と離れた場所で学べるため、集中して知識を吸収できます。さらにそれが第三者機関となれば、よりメリットは高まります。業務ベースでなく業界ベースで話が展開されるため、広い視野における知識の土台が築けるでしょう。
これには、大きな意味があります。一度広い世界を見てから、あらためてピンポイントな範囲に視点をおくと、余裕が生まれるためです。新人・若手にとっては、余裕こそが効果的な成長に繋がることでしょう。
また、接しなれた人が説明するのと異なり、社外講師から受講することもメリットに繋がります。これにより、真剣に聞きたい、学びたいというモチベーションが高められるためです。結果的に、有益な知識を積極的にとり込み、戦力としてのレベルが大きくアップする期待が持てます。
Off-JTのデメリット
上記の効果が期待できるOff-JTですが、デメリットも伴います。社外での研修だからこその特徴も念頭に入れておかなくてはなりません。
たとえば、第三者機関から受講するとなれば、学べる内容は社内業務に直結するものではなく、業界における一般視点のものです。そのため、真剣に学んだとしても、そのままの状態で業務に反映することはできません。蓄積した知識を自分なりにアレンジして、社内での業務にうまく反映できてこそ初めて意味を成します。この作業が苦手であれば、あまり効果的でないかもしれません。
また、Off-JT研修がクオリティの高いものであっても、それが正確に伝わり吸収できるかどうかは未知数です。聞く側の学ぶ姿勢や能力、また担当講師の良し悪しでも伝わり方は変わってくるでしょう。Off-JTをおこなったからといって、かならずしもスムーズに反映されるとは限らないのです。
理想的な役立て方とは
以上のように、OJTとOff-JTには、それぞれメリットデメリットがあります。そこでおすすめとなるのが、両方をバランスよく使い分ける指導法です。たとえば、繁忙期と閑散期それぞれにおいて使い分けると効率的でしょう。また、Off-JTで学んだ知識を社内で実務に反映させることに重点を置いたOJTをおこなうというのも効果的です。型に捉われることなく、柔軟に役立ててみてはいかがでしょう。
OJTとOff-JTをうまく扱いこなそう
OJTとOff-JTは、対極の存在でありながら、親和性の高い関係性ともいえます。OJTで学びきれないものをOff-JTで落ち着いて吸収する、またOff-JTで得た知識の実用のためにOJTを駆使するなど、柔軟に扱いこなしましょう。これらを使いこなすことで、効率的に即戦力となる人材を生み出せるのではないでしょうか。